535:LX[saga sage]
2012/02/19(日) 20:08:10.24 ID:1l8w7IH90
当麻の寮。
メインエントランスの暗号キー付きカードは、当麻からコピー(正式なもの)をもらっている。
もちろん彼女の能力からすればどうということはないもので、ハッキングして数秒で解析出来て簡単に開いてしまう低レベルな代物だ。
センサーに叩きつけるようにしてタッチしてドアを開け、彼女は中に入り、エレベーターで上に上がる。
彼の部屋の前。
チャイムを押すと、ドタドタという足音の後、ガチャと音がしてドアが開く。
「お、おう。お帰り。……その、もう具合はいいのか?」
当麻の顔がそこにあった。
「ただいま。大丈夫よ、ありがと……って、ちょっと何よ、その顔?」
美琴は当麻の顔を見て、一瞬気が緩む。が、ここで甘い顔を見せては沽券に関わる。まずは挨拶代わりの軽いジャブからである。
「ん? なにか付いてるか?」
ぎくっとしたのか、動揺がすぐに出てしまう当麻。
(まったく。あんたはホントにウソがヘタなんだから、このばか)
心の中で苦笑しながら、美琴は厳しい顔で二の矢を放つ。
「うっさい、ばか。あんた、なんで私が今日帰ってきたのか、わかってるでしょうね?」
「う……怒ってるんだろ? あれだけ言われればしっかり覚えてるって。って言うか、ここじゃなんだし、ま、入れよ」
「ふん、帰れと言われたって今日は入らせて頂きますからね」
憎まれ口を叩きながら美琴は部屋に入った。
「その……先に帰ってしまってすまなかった」
「いいわよ。二人で帰ってきたらまた大騒ぎだもん。あんた、どうだった?」
「あはは、なーんにもなかった。昨日の大騒ぎがウソみたいだったよ」
「へー」
他愛もない話をしながら美琴は手を洗いに行く。
ふと。
彼女は普段嗅いだことのない香りに気が付いた。かすかに香る、この化粧品の匂いは?
(ちょっと……これ、どこから? まさか?)
そっと洗濯機の蓋を開けると、当麻の汗の匂いの他に、ほのかに香る香り。それは彼女の使っているものではない。
それは、ほ・か・の・お・ん・な・の存在。
(やっぱり!)
(あの、雲川ってひとのだわ、絶対! 当麻もバカよねー、頭隠して尻隠さずなんだから。ほんっとにあのバカ!)
危なく放電しそうになるのを押さえた美琴は、手を洗った後、置いてある自分専用のコップでうがいをすると、居間に向かう。
心なしか、ビクビクしているような感じの当麻がそこに座っていた。
「さーてと、あんた? 何から説明してもらいましょうかしら、ね?」
冷たい微笑を浮かべて、美琴は当麻の前に座る。
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