641:LX[saga sage]
2012/04/08(日) 20:05:59.81 ID:TWpm6pHq0
「お……ねえ……さま……?」
美琴の姿を認めた御坂妹は立ちすくむ。
入り口に立ちつくす彼女に美琴が声を掛ける。優しい声で。
「そんなとこで立ってないで、ほら、そこにお座りなさいな?」
その声で、我に返ったのか、御坂妹はおずおず、といった感じで彼女の前に座る。だが、視線は美琴には合わせない。
目ざとく彼女のお腹を確認した美琴は、今度は彼女の顔を真正面から見つめて問いかける。
あくまでも声は優しく。
「アンタ、身体はいいの?」
「はい。特に問題はありません」
「……ウソ言いなさい。あんた、妊娠してるんですって?」
ズバッと切り込む美琴。
「え……」
「本人が言ったわよ、私に。泣いて謝ったわよ。謝って済むなら誰も苦労しないわよ。ほんとぶち殺したいくらいだけど」
「そう、ですか……あのひとが、お姉様<オリジナル>に……」
「自分から言ったのは褒めてやるけど、それ以外ホント、人間のクズよ、人でなしよ! どこに、婚約者の妹を孕ませるヤツがいるのよ!
信じられない。ホント、今もあんなヤツを好きだったなんて、思っただけでも自分自身に反吐が出るわ。
あんなやつ、死んじゃえばいいのよ。二度と顔も見たくない。声も聞きたくないわ!」
美琴は一気にまくし立てる。溜まっていた憤懣が、憎悪が、言葉となって彼女の口から流れ出る。
御坂妹はショックだった。
恐ろしかった。
お姉様<オリジナル>が、恋のライバルだったけれど、それ以上に尊敬する、愛するお姉様<オリジナル>が、
あのお姉様<オリジナル>が愛した、このミサカが愛した、あの人を責めている。
あの人を罵倒し、さげすみ、憎み、呪っている。
言葉が、恐ろしい言葉が、お姉様<オリジナル>の口から出るなんて。
お姉様<オリジナル>、もう、止めて下さい!
「でね、あんたには、ほんと、なんて謝ったらいいのかわかんないの……ごめんなさいね、私がしっかりしてなかったから……」
そう言うと、美琴は御坂妹の手を取る。
そして。
「その、あんたのお腹の中の子供だけどね、堕ろしちゃいなさい。今ならまだ間に合うでしょ。
その子に罪はないけど、望まれてない子は結局不幸になるだけよ? あとは任せておいて。慰謝料は目一杯ふんだくったげるから!」
御坂妹は、耳を塞ぎたかった。
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