675:LX[saga sage]
2012/04/22(日) 19:45:13.01 ID:rvILcllf0
そんなこととはつゆ知らず、美琴は黄泉川からもらったデータを持ってファミレスに打ち止め<ラストオーダー>を呼び出した。
それは、一方通行<アクセラレータ>と顔を合わせたくなかったからである。
一時期、美琴は彼と行動を共にしたことがある、が、正直言って積極的なものではない。
「レベル5」が必要とされたから、
「あのバカ」がいたから、
であり、「あいつ」が絡んでいない話であれば出来れば避けたい相手の一人、である。
しかも、今回は、妹達<シスターズ>の末っ子の話。
会って見て、美琴は少し妙な気分になった。
髪型こそ違え、まるで昔の自分を見るようだったからである。ならば、当然きっと……
「あんた、アイツに避けられたりしてない?」
打ち止め<ラストオーダー>は顔を伏せて答えた。
「うん……やっぱり、あの人、昔を思い出してるのは間違いないって思うの。
だから、ミサカは外へ出るべきだと思う。学校に行って、寮に入るの」
「そういうことなのね……常盤台は絶対無理ね」
「ダメダメダメ、それだけは、絶対ダメ。絶対に……他にも学校はあるのに、なんで常盤台なンだって聞かれたら、ミサカは答えられない……嫌がらせ以外の何ものでもないもの」
「個人的には、それくらいやっても良いような気がするけど、まぁ反省してる人間の傷口に塩塗るマネもアレよねぇ」
「お姉様<オリジナル>、もう止めてあげて? 今もあの人、苦しんでるから」
「ハイハイ。誰も面と向かって言うとは言ってないでしょ? それくらいわかってるわよ。で、あんたの名前、ざっと作ってきたけど、どう?」
3次元ホログラムビュワーを起動させ、名前データを投影してゆく。
「うわぁー……」
最初、彼女は目を輝かせて名前の列を見ていたが、そのうちに目を伏せてしまった。
「なによ、どうしたの? 気に入る名前出てこない?」
美琴は興味を失ったかのような打ち止め<ラストオーダー>に優しく問う。
「お姉様<オリジナル>? あのね、決してお姉様<オリジナル>の字をもらうのが嫌なんじゃないのね。
そうじゃないの……うまく言えないけれど、ミサカは妹達<シスターズ>の一人は嫌。
ミサカはね、一人の「普通の」女の子になりたい。妹達<シスターズ>のミサカではいたくないの。ごめんなさい、美琴お姉様」
美琴はなんとなく打ち止めの思いがわかったような気がした。
必死にもがいている、この子は自分を縛るくびきから逃れようと苦しんでいるのだ、と。
名字が御坂、更にそこに自分に由来する文字が入る名前では、私の影がこの子に一生ついて回ることになる。それが嫌なのだろうと。
(やっぱり、少し違うのね、この子は)と美琴は思う。
1002Res/1293.21 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。