686:LX[saga sage]
2012/04/29(日) 21:00:01.90 ID:W/PWo5k00
美琴はずっと家に閉じこもっていた。
食事も、一度食堂で知った顔に会って以来、行かなくなった。
今では全部、ケータリングサービスで済ませている。
もう、何もかもが信じられなかった。
メール、電話にも一切出なかった。
大学の友達も来たけれど、帰ってもらった。
同じ寮の彼女は心配して来てくれたのに、八つ当たりしちゃって本当に悪いことをしたと、今は思う。
様子がおかしい、と見た白井黒子が二回ほど寮に来たが、二回とも追い返した。
「ごめん。私、今、誰にも会いたくないから」と。
黒子を二回も追い返したことに心が痛む。
でも、美琴は、黒子が羨ましかった。
今、幸せ一杯の黒子の顔は見たくなかったし、それに何よりも、惨めな自分を彼女に見せることを怖れ、躊躇したから。
そんなある日。
インタホンが鳴る。
また誰か来たんだろうか、と美琴は思う。
「管理人の早瀬ですけれど、御坂さん、具合は如何ですか?」
と内線のスピーカーがしゃべる。
こればかりはどうしようもない。センサーで彼女が部屋にいることはばれている。
各人の部屋にはAIMジャマーがあるので、能力で弄くることは出来ないし、さすがにそこまでやることは気がひけた。
「来客の方が上がりますから、宜しく御願いしますね?」
一方的に切れた。
誰? 誰にも会いたくないって言っておいたのに、なんで上げるんだろう? と美琴は少しむっとする。
仕方ない、また追い返すか、と彼女は思う。
馬鹿なヤツ、と思った一瞬、当麻かな? と彼女の脳裏には彼の顔が浮かんだが、直ぐにありえないわ、と否定した。
アイツが来るわけ無いじゃない、どの面下げてここへ来れるのかと。
それに、アイツはここへは入れないし、バカね、アンタ何期待してるのよ、と彼女は自嘲する。
部屋のチャイムが鳴った。
「誰だかしらないけど帰って!」
不思議なことにドアが開いた。
「!」
「心配したぞ、美琴?」
……茫然と立ちすくむ美琴の前に立っていたのは、父、御坂旅掛であった。
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