714:LX[saga sage]
2012/05/13(日) 19:58:31.87 ID:5Ilf9fTa0
眠り続けている御坂妹。
生気のない彼女の顔を見ながら、バカ野郎、と当麻はつぶやく。
(私から離れないで下さいって言っておきながら、そのお前が離れちまってどうすんだ?
お前は、こんなにやつれ果てて……お前は、今までいったい何をしてたんだ、大バカ野郎!)
思わず手を伸ばし、彼女の頬をなでる。化粧ッ気のない、荒れた肌の感触が一層やるせなさを感じさせる。
そのとき、不意に一つの予感が彼の頭に閃く。
(まさかお前、死ぬ気だったのか……?)
――― 勝手にしろ! ―――
怒鳴りつけ、彼女を振り返らずに出た自分。彼女はあれからどうしたのだろうか?
頼りにしていた自分からも拒絶され、生きることに絶望したのだろうか?
だとしたら、俺は、美琴ばかりか御坂妹までも傷つけたのだろうか? 俺は、二人の女の子を絶望の縁に追いやったのだろうか?
なんということだ! 俺は、とんでもないことを、またしてしまった……
いいや! だけど、今は、それよりも、
まずは、まずは、こいつを、御坂妹を助けなければ!
彼は、点滴チューブが刺さっていない方の手を握りしめて、低く、小さく、だが、彼女を力づけるようにはっきりと耳元で話しかける。
「死ぬな、生きるんだ、御坂妹!
……お前は死んじゃダメだ、勝手に死ぬなと言っただろ?
……俺は、お前に、まだ山ほど言うことが残ってる!!」
偶然にも、それは、あのときの言葉と同じ。
だが、その後は、あの時とは違った。
彼女の冷えた、潤いが感じられぬ唇に、思わず彼は自分の唇を押し当てていた。
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