730:LX[saga sage]
2012/05/27(日) 19:13:38.36 ID:IGkAb8mz0
(もう一人、いた!)
美琴は気づいた。カエル顔の医者が、あの子についての話をしそうな人間を。
(まさか、アイツがしゃべるなんてこと……いや、そんなみっともないこと、いくらアイツでも自分からしゃべるわけ無いわ。でも、他に……どうしよう?)
そう、上条当麻、アイツにはリアルゲコ太はたぶん話をしてるはずだ、と美琴は推測する。
アイツは、あの子にとって、生きる望みそのものなのだから。
あの子のお腹の子の父親は、アイツなんだから。
そうは言っても、今さら当麻のところに行って、あの子のことを聞くようなまねは出来ない。
あり得ない。
そんなみっともないこと出来るわけがない。
(そこまでしてまで、あの子のことを調べる義理なんかないでしょ? ほっとけばいいのよ)
(ほっとけるわけないでしょ? 情けないこというんじゃないわよ)
2つの声が心の中で響く。
彼女は決断した。
「まずは、自分で出来ることをやろう!」
美琴は愛用のモバイルPCを持ち出し、いくつかあるポイントへと向かった。
「ふーん、とりあえず東京へ出て、その後ここには戻ってきてはいないのね」
美琴は検体番号10032号の入出国データを閲覧していた。
それはハッキングによるものでであり、勿論違法行為である。
彼女について、その他何か変わったことはないかと大急ぎで見て回ったものの、情報は皆無だった。
(ま、陰の存在だもんね。逆にたくさんあったら大変だし)
そう思い直して、美琴は今度は当麻のデータを見に行く。
すると、思いもよらぬデータが現れた。
いくつかのデータがSランク指定でカバリングされていたのだ。
(何これ? なんであいつの入出国データがSランクになるのよ?)「そんなバカな!……って、あ……」
美琴は独り言にしては少々大きな声で叫んだことに気が付き、あわてて周りを見る。
幸いなことに、彼女に気を払う人間はいなかったようだが、彼女はこそこそとその場を逃げ出した。
(どういうことなの、このあたりって、あいつと連絡が付かなかった日じゃない? 就職面談で、そのあとどこかの島に連れてかれた、って言ってたわよね、確か)
走りながら、彼女は頭の中で記憶をたぐる。
違うポイント、人が少ない公園まで走った美琴は再びハッキングを開始する。
勿論、今度はランクSでの不正アクセスである。
このクラスでのハッキングは至難の業であるが、彼女は何度も成功していた。
(よし、クリアした)
長時間のアクセスは危険であり、手短に行わなければならない。
手っ取り早く彼女は「上条当麻」の人物データを検索した。
(う……そ……、どういう、ことよ、これ)
そこに出ているデータを見て、美琴は絶句する。
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