750:LX[saga sage]
2012/06/03(日) 20:26:04.40 ID:1JS8rMWZ0
「あの、御坂……さん? あの、失礼かもしれませんけれど、その、ひとつ質問が……」
「良いわよ? ふふ、あの子が私そっくりだってこと?」
「えー! どうしてわかったんですか!?」
「あの子を見た後で、質問っていったらそんなことだろうと思うから」
「そうなんですよぅ……で、あのひとなんですけれど、そ、その昔、都市伝説のひとつに、あの、御坂さんのクローンが軍事用途で作られたと言う話があるんですが……」
初春が声を低めて質問してきた。それに合わせて美琴も声を落として答える。
「まぁ会っちゃったしね……そう、その通りなのよ。あの子はそのうちの一人」
「やっぱりそうなんですか?……そうなんですね……あの、もう少し聞いて良いですか?」
「詳しくは答えられないけどね」
「はい、もう一つだけですから。その、まだ、他にも?」
「そうね……学園都市には、まだ3人いる、とだけ言っておくわ。あの雑誌に出ちゃったのは本物、事実なの」
「そうなんですか……道理でそっくりなわけですよね……白井さんがもし遭遇したら大変ですねー」
その言葉に美琴は、検体番号10039号に迫った黒子の姿を思い出した。
そして、あのバカと一緒に記念写真を撮ろうとしていた10039号の間に割り込んだ自分の行動をも。
(ちょっと大人げなかったわね、姉<オリジナル>としては)彼女に済まないことをしたかな、と思う。
「御坂さん、私、ちょっと不思議なことがあるんですよ」
もの思いに再び沈んだ美琴に、初春は空気を少し変えようとして話しかけた。
「へー、なに? どんな事?」
「いや、御坂さんて、レベル5で、美人で、頭良くて、学園都市の広告塔みたいな役も引き受けてて、私、いっつもすごいなーって憧れてたんですけれど、結構ゴシップネタ出ますよね?」
美琴は苦笑する。
「その通りよね。恥ずかしいし、情けないわよね」
初春は、廻りをさっと見回し、廻りの席に人がいないことを確かめつつ、再び声を潜めて喋り始める。
「それでですね、その後始末が私たちに廻ってくるんですよぅ」
「は?」
「学園都市じゃ絶対出来ない話なんですけどね。御坂さんが秘密のこと、私に教えてくださったんで、そのお返しも兼ねて、ですけど。
私の仕事分野にはそういう仕事も入ってるんです。御坂さんに関する話で、『あー、これ、絶対まずい』っていうものが出るとですね、早ければ1時間くらい後にですね、消せっていう指示が来るんです。
他にも同じような仕事の人がいて、誰だかお互いには知らないんですけれど、あそこじゃその仕事は出来なくて、みんな違うところで内緒でやるんです。
だからほら、私、『どこでも仕事できます』って言ったんですよ?」
とんでもないことを初春はしゃべってきたので、美琴は少し青くなった。
「ちょっと、あなた、そんなこと言って大丈夫なの?」
だが、彼女は平然とキッパリ答えた。
「大丈夫ですよ。ナノGPSに音声録音機能はありませんから。位置情報記録だけです」
「ふーん、ならいいか」
彼女はアンチスキルだから、自分のクローンの事がバレても、仕事上必要な内容だったと言い張れば済む。
しかし、彼女が自分の極秘任務のことを私にしゃべったとなれば、それはただでは済まないだろう、と美琴は考えたからだ。
「それでですね……ずーっと昔、御坂さんからなんだかよくわからないアルファベットの羅列の調査を依頼されたことがあったんですけれど、それって、覚えてます?」
とんでもない発言が初春の口から飛び出した。
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