過去ログ - 新・学園都市第二世代物語
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749:LX[saga sage]
2012/06/03(日) 20:09:19.11 ID:1JS8rMWZ0

「あの時の御坂さんの様子が……その、ものすごく怖かったので……」

「うっそー、そうだった? う〜ん、確かに、気は張ってたかも」

「あのまま一人で行かせたら、それこそ血の雨でも降るんじゃないかって思っちゃって。

東京だから私、なんの力もないんですけれど、あ、学園都市でも同じですけれど、でも、止めることくらいは、頭に昇った血を下げることくらいは出来るんじゃないか、って思ったんですよう」

美琴と初春は、銀座資生堂パーラーでお茶をしていた。

「あの時」の興奮はどこへやら、初春はしっかりと「季節のパフェ」を選択し、今は幸せそうな顔をしながらパクついていた。

そんな彼女の顔を見る美琴の心は、不思議と静かだった。

「憑き物が落ちた」と自分でも言ったが、そんなものなのか、と彼女は自問自答する。



当麻の東京の訪問先が「病院」とわかった瞬間、私はそこが「あの子」のいる病院だと確信した。

なんの根拠もなかったのだが、その時の私には、絶対間違いない、という自信があった。

そして、ウィークリーマンションの存在。当麻が借りたものか、あの子が借りたのか、どっちなのかはわからない。

でも、もう、そんなことはどうでもよくなった。自分が待ちかまえるそのマンションに、二人は戻ってきたのだから。

仲良く、仲むつまじく戻ってきた二人の姿を遠くから見て、なぜか私は不思議と腹が立たなかった。

むしろ、「ああ、やっぱりこうなったんだ」と、私は悟った。

「あの子の思う通りにはさせない」と息巻いていた自分が恥ずかしくなった。

むしろ、あの二人のほうがごく自然だった。

当麻と過ごしてきたこの数年間の全てが、もうそれは、どこか遠い日の話。



「御坂さん、御坂さんってば、聞こえてます?」

むうぅ、という顔の初春が呼びかける声で、はっと彼女は我に帰る。

「あー、やっと帰ってきた……御坂さん、やっぱり、その、上条さんの話を聞いた方がよかったんじゃないんですか?」

恐る恐る、と言う感じで初春が質問をしてくる。

「聞いても仕方ないの。聞いてたでしょ? 『言い訳』なんて、そんなの時間の無駄よ」

美琴はすっぱりと切って捨てた。

「……その、ショック、でした?」

初春は違う方向から今度は聞いてきた。

だが、美琴はその質問には答えず、違う話を返す。

「見てわかったでしょ? あの子のお腹」

「え? あ、は、はい。妊娠してましたね……って、あの、その……」

言葉に詰まる初春を見て、美琴は苦い笑いとともに自ら答えを言った。

「そう、アイツの子なんだな、これが」

「えーっ!? ほんとにホントだったんですかー!?」

目を見開き、思わず声が大きくなる初春だったが、直ぐに気が付きあわてて小さくなる。

「何よ、それ……まさか、あなた、なんか知ってるの、初春さん?」

まさか、彼女にまでバレていたのか? と思い、少し詰問調で問いただす美琴。

「い、いえ、その、頼まれた時の様子が、まるで浮気調査みたいだったので……もしかしたらって」

「そっか。そういうことか……」

おずおずと答える初春の様子に、思わず美琴はほっとして身体の力を抜いた。


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