765:LX[saga sage]
2012/06/08(金) 00:41:52.42 ID:anln+97A0
検体番号19090号が話を続ける。
「私たち、妹達<シスターズ>の中には、熱狂的なあの方のファンがおります。
あの方は、命を賭してミサカ達を救う為に闘って下さいました。
あの方になら全てを捧げてもよい、いえ、そうしたいと考えるものは数千人を下りません。
念のため申し添えますが、もちろん残っている妹達<シスターズ>全員があの方のファンというわけではありません。
また、今なお健康体を得られず調整中のもの、現地で伴侶を見つけ結婚したもの、既に鬼籍に入ったもの、死亡確認はされていないが音信不明のもの、などもおります」
「あ、あんたたちね……」
美琴は理解した。
この子たちは、あんたたちは、これから……
「お姉様<オリジナル>が、あの方と結婚するということで、我々は競争することを諦めておりました。
ですが、そのお姉様<オリジナル>が降りた、ということで本命馬が試合放棄したことになりました。
我々妹達<シスターズ>のうち、あの方と結ばれたいというものたちが、噂が広まった段階でスタートラインに一斉に横並びしておりました。
そして、スタートの合図が、先ほどのお姉様<オリジナル>への噂の真偽、事実の確認でした」
検体番号19090号はニヤリとし、片目をつぶった。
「そんな……バカな」
「スタンバイ中の妹達<シスターズ>へ報告します。お姉様<オリジナル>とあの方との婚約は解消されました」
検体番号13577号が明瞭に言い切った。
「止めなさい! バカ言ってるんじゃないの! あんたたち、アイツのこと……」
美琴の悲鳴に近い声があがる。
が。
「これより、あの方、上条当麻さんの」
「止めろって言ってんでしょーが!」
「争奪戦を開始します!」
「ふっざけんなーぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!」
美琴の電撃が飛ぶが、二人は楽々とそれをかわし、やれやれ困ったものだ、と言った顔で彼女を見る。
「賽は投げられました、お姉様<オリジナル>。現在スタートラインに立っていたミサカの数、1327名です」
「検体番号19090号、その数はもはや古いです。既に1803名に上りました」
「学園都市にミサカが溢れる可能性がありますが、御了承下さい、とミサカはあらかじめ通告します」
二人のクローンはぺこりと頭を下げると、美琴に背を向け、歩き去ってゆく。
茫然と立ちすくむ美琴に出来たことは、ただただ、去ってゆく二人を見送ることだけであった。
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