774:LX[saga sage]
2012/06/10(日) 23:58:45.16 ID:u/7fUOgg0
「上条さん、いまどちらに?」
「お、おう、寮だけど、なんだ、どうした10039号? そんな恐い顔して?」
「今すぐ、その寮を出て下さい!! 危険が迫っています! 以前に待ち合わせたコンビニ覚えてますか?」
「ん? ああ、あの時の? うん。わかるぞ?」
「では大至急来て下さい!! とにかく早く! 直ぐに!! 今すぐに!」
「はぁ? 何だよ危険って? 俺にか? どういうことなんだよ?」
「説明は後でします! とにかく、今はこのミサカを信じて、直ぐに来て下さい!」
「んー、わかった。じゃ、これから出るわ」
「御願いします!!」
せっぱ詰まった顔でまくしたてる検体番号10039号の画像・音声同時通話にせかされるように、当麻は寮を出た。
果たせるかな、その15分後、当麻の寮に2人のミサカが現れた。
1人は検体番号19090号、そしてもう一人は検体番号17600号、であった。
そして、今、二人は検体番号10039号の部屋にいた。
「はぁぁぁぁぁ? なんだそりゃ?」
「そうなのです。上条さんはこれから数千人のミサカに追われることになります」
「ちょっと待てよ、信じられねぇよ。そんな、バカな……」
「事実です。既にミサカが上条さんの寮の前にいます。危ないところでした。おそらくこれからその数は加速度的に増加するものと思われます」
「なんでそうなるんだよ……」
「当分の間、寮へは戻れないでしょう……申し訳ありません、とこのミサカはミサカを代表して上条さんに陳謝します」
「いや、そんなことはいいよ。で、それは止められないのか?」
「恋する女は盲目ですから。今まではお姉様<オリジナル>の存在がブレーキ役を果たしていましたが、この雑誌の」
検体番号10039号は週間シャッターを当麻の目の前に置く。
「はぁぁぁぁぁ? なんだこれ!? またこんな事書かれてるのかよ!?」
「検体番号13577号と検体番号19090号が、この真偽をお姉様<オリジナル>に確認したところ、お姉様<オリジナル>はこの話を否定されませんでした」
「……」
「それで、ブレーキが外れたミサカたちは、一斉に走り出したのです」
(美琴……)
――― もう、あんたを愛せないから! ―――
美琴の言葉が胸に突き刺さる。
その美琴にそっくりな検体番号10039号が目の前で、当麻の顔を注視している。
なんでこうなっちまったんだろうか、と当麻はギリと唇をかむ。
「念のため、お聞きしますが、この話は本当なのですか?」
「お前、俺のこと、ネットワークに流すのか?」
「否定されるのであれば、流した方が良いのではないですか? ですが、肯定されるのであれば、今さら流しても仕方ありません、とミサカは考えます」
「いや……今、俺と美琴との関係は最悪ってところだ。この雑誌が書いているとおり、だな」
「……そうなのですか……お姉様<オリジナル>と上条さんとは、羨ましいくらい仲が良かったカップルだったのに、どうしてそうなってしまったのですか?」
不思議そうな顔で検体番号10039号は当麻に訊いてくる。
それがどれほど当麻の耳に痛い質問なのか、彼女にはわからない。
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