過去ログ - 新・学園都市第二世代物語
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775:LX[saga sage]
2012/06/11(月) 00:15:01.48 ID:FxMeYeFV0

「……俺のせいなんだ。詳しくは言えないけれど」

目の前にいる検体番号10039号は全くの別人ではあるが、まるで美琴に責められているように当麻は思う。

「何か、お姉様<オリジナル>を傷つけるようなことでも?」

グサっと心に届く言葉の刃。

「すまん、許してくれ。それ以上は言えないんだ。絶対に」

苦しそうに答える当麻。

「苦しんでいらっしゃるのですね? でも、お姉様<オリジナル>はもっと辛いのではないかと、このミサカは思っています」

そうだろうな、と当麻も思う。

プライベートなことを何度も興味本位で書かれ、そして妹達<シスターズ>からも責められ……

(俺はあいつの世界を守る、って言ったのに、何一つ出来ていやしない)

「このミサカも、上条さん、あなたを慕うミサカの一人ですが、まだ、あなたはお姉様<オリジナル>を愛していらっしゃるのですか?」

かすかに頬を染めて、いきなりとんでもないことを言い出した検体番号10039号。

「え? お、お前もそ、そうか?」

「当たり前ではないですか? 好きでもない男性を、自分の部屋に上げるような女性がいると思いますか?」

ほんのりと頬を染めた検体番号10039号にキッ、と思い切り睨まれた。

確かに、そうだ。普通は、ないよな、と当麻は思う。

そう思い至ると、急に当麻は女性の部屋にいる、ということを意識し始めた。

部屋に漂う女性の香り。香水のような、石鹸のような、ほのかな、とても心地よい香り。

調度品も、慎ましやかではあるが、センスの良いもの。実用一点張りの自分の部屋のものとは全く違う世界。

「女性の部屋をじろじろ眺めるのはマナー違反だとミサカは思いますが?」

まったくもう、と言う目で検体番号10039号が睨む。

「あ、ああ。す、すまん。ちょっと意識しちゃってさ」

ゴメンゴメンと手を振る当麻に、ふっと微笑んで答える検体番号10039号。

「ふふ、でも、上条さんに興味を持ってもらえるのなら、ミサカは全然気にしませんよ? とミサカはちょっと誘惑してみます」

「お、おいおい?」

まさかお前もか? と少し後ずさりする当麻。

「まぁ、何もそう露骨に避けなくても良いではありませんか? と少し気分を害したミサカはふくれっ面をしてみます」

フン! と拗ねるミサカ、検体番号10039号。

「お前、結構気分屋なのな……」

「男性の気を引く仕草、というものをを実行してみただけです、とミサカは種明かしをします……それで、先ほどの答えはまだでしょうか?」

いたずらっぽく笑った彼女は真面目な顔になって答えを迫る。

「あいつは、もう俺を愛してないって言い切ったけど……俺は今でもあいつが好きだ。あいつの全部が好きだ。今さら言えた義理じゃないけどな」

当麻は美琴に言うかのように、検体番号10039号の顔を見すえて答えた。

「お姉様<オリジナル>にそう言えば良かったのに、とミサカの顔を見ながらお姉様<オリジナル>に言うべき言葉を吐いた上条さんに、少し気分を害したことは内緒にします」

自分ではなく、美琴を思い浮かべながら答えたことがわかったのか、検体番号10039号は不満の声とかすかに寂しさをにじませて

「上条さんの気持ちは、わかりました」と答えた。



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