過去ログ - 新・学園都市第二世代物語
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832:LX[saga sage]
2012/08/19(日) 21:38:31.62 ID:4tGOQ92R0

「当麻?」

「なに?」

「アンタ、まだ、私を愛してる?」

「……もちろんだ。俺は、お前を、御坂美琴という女性を、愛している」

妹達<シスターズ>の間にざわざわざわーっとどよめきが伝わってゆく。

先頭に立っていた御坂未来の頬は紅潮する。

よく知った人からの、ストレートな愛の告白。

聞いてはいけないような、なんとなく聞いている方が恥ずかしくなるような、むずかゆいような、感覚。 

だが、そんな感慨を抱くものだけではなかった。



検体番号10033号は、ポロリ、と涙を流した。

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第10032次実験の後、引き続き自分の実験が行われる場合に備えて、彼女、検体番号10033号は既に次の予定地に待機していた。

自分に与えられていた武器の点検を繰り返し、攻撃方法を頭の中で何度も繰り返していた時に、その知らせは飛び込んできた。

   ――― 一方通行<アクセラレータ>が倒された ―――

最初、彼女はその知らせの意味を良く理解出来なかった。単純に、ああ、今日は実験はないんだ、としか思わなかった。

だが、次の日も、その次の日も、実験は行われなかった。

そして、突然、彼女は実験の無期延期を伝えられ、「身体の調整」という名目で学園都市から見知らぬ国へと送り出された。14人のミサカと共に。

検体番号10032号の記憶を共有することで、自分の前の第10032次実験が、どういう結末になったのか、彼女は知ることが出来た。

   ――― 上条、当麻 ―――

彼女は、彼と直接会ったことはない。

第10031次実験の時点においても、既に彼女は自分の指定された座標地点、つまり実験場所に移動していたからである。

彼女は、彼をうとましく思った。

――― 彼が来た為に自分は実験に参加出来なかった ―――

――― 自分は、自らの役割を果たせなかった ―――

それどころか、実験そのものがなくなってしまった。自分を必要とした目的が消滅してしまったのだ。

更に、あろうことか、自分は無用の長物のような扱いで学園都市を追い出された。

自分の存在価値をなくす原因を作った人間、として検体番号10033号は彼を記憶したのだった。

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送り込まれた街では、彼女らは「調整」の見返りとして、高級コールガールに仕立て上げられた。

自分たちの欲求を満たすだけではなく、来訪した要人への夜の接待等に用いられる為に、まだ青い身体に徹底的にあらゆる性技が叩き込まれた。

1年も経つと、彼女ら自身も性の喜びを覚え、性技にも磨きがかかり、外見とその性のテクニックとのアンバランスが絶賛を呼び、彼らの目論見は大成功を収めたのである。

だが、単純な性的奴隷にされなかったという点では、まだましだったかも知れない。

彼女らは病院の近くに豪華なアパートメントを与えられており、普段の生活には何の不自由もなかった。

高級コールガールは性技だけでは不可であり、知性と教養が要求される。

そのために、毎日、アパートメントには教官がやってきて、ゲストルームの1つは事実上彼女らのための教室と化した。

彼女らのアンバランスな知識は適正に修正され、中途半端な語学についても教え込まれた。お相手の要人が多岐に渡るためである。

これらには当然、それなりの費用がかかるわけであるが、学園都市から「身体調整費用」という名目で、毎月相当な金額が送金されていた。

彼らは金づるを失うような愚かなまねは避けたのである。



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