過去ログ - 新・学園都市第二世代物語
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841:LX[sage saga ]
2012/08/26(日) 21:30:57.97 ID:s3IR9i8w0

「未来、ごめんね。皆に悪いことしちゃったよね……」

「いえ、納まるものが納まるべきところに納まったわけですから。お姉さまも、これで良かったのでしょう?」



ここは美琴の部屋。

妹達<シスターズ>が全員バスに乗り込んだのを確認すると、御坂未来(みさか みく)は疲れ果てた顔ではあったが、今日はお姉様<オリジナル>の部屋に行きたいと言いだし、美琴は喜んでその話に応じた。

もう一人の主役であった上条当麻は二人に気を利かせたのか、はたまた失意の妹達<シスターズ>に気をつかったのか、「ごめん、どうにも断れない用事があるから」と言って何処かへ消えた。

その心遣いを評価する自分と、妹達<シスターズ>の目の前で、彼女らの夢をぶち壊すキスをした上に結婚宣言までしておきながら、どうして今日は一緒に帰ってくれないのか、と不満に思う自分がいることに美琴は少し驚いた。

なんだかんだ言っておいて、自分はまだアイツを完全に諦めきっては居なかったのか、結構未練たらしいところがある女だったのだと美琴は思った。

そう思うと、ひたすらアイツに恋い焦がれていた妹達<シスターズ>の方がよっぽど純情だった、と思われて、それに引き替え自分は……

私は、あの子(御坂妹)にされたことを、何も知らない妹達<シスターズ>にやりかえしたのだ、と。

なんと意地の悪い、人でなしの女なのだろうか、と彼女の気分は落ち込むのだった。



会場から出てゆく妹達<シスターズ>は、ただの一人も振り返らなかった。

あたかも軍隊のパレード行進のように、綺麗に揃って出て行った。

あの時は、特に気にもしなかったが、今思うと、彼女らの心の内がなんとなく読める。

一つには、私に対する、せめてもの抵抗。

お姉様<オリジナル>おめでとう、私たちはとても喜んでいます、とは言った。だが、彼女らの目は必ずしもそうは言っていなかった。

不自然なくらいに、意図的に並んで出て行ったあの子たち。

それは、軍用クローンとして生まれ出た彼女らの、精一杯の意思表示だったのだろう。

そして、おそらくもう一つには、彼女ら妹達<シスターズ>同士の中での牽制だろう、と。

全員が揃って出てゆくことで、抜け駆けを押さえ込んだのだ。

もっとも、未来に言わせると、問題児が一人紛れ込んでいて、結構危なかったらしい。

彼女が「矯正」して大事には至らなかったのだそうだが。



美琴の部屋に入るや否や、それまで疲労困憊、と言った感じだった未来は俄然元気になった。

手洗い・うがいもそこそこに(黄泉川家で覚えたしつけ、だそうな)、彼女は、自分の、いや自分たち妹達<シスターズ>のお姉様<オリジナル>である美琴の小さい頃の写真を見たがった。

勢い込む未来に美琴は面くらい、あんたそっくりの私見てどうすんのよ、と茶化してみたけれども、古びたアルバムをめくる未来の耳にはその言葉は聞こえていなかった。



彼女が、食い入るように見つめていたのは、美琴の七五三の写真。

家族三人が、御坂旅掛、美鈴、美琴が、並んで写っている微笑ましい家族の写真だった。



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