過去ログ - 新・学園都市第二世代物語
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913:LX[saga sage ]
2012/10/21(日) 22:46:51.37 ID:UzgGY96z0

「あれ、あんた、帰ってこれたんだ?」

美琴は、当麻がいることにちょっと驚いたようであった。

「あ、ああ。運良く飛行機があってな。ちょっと間に合わなかったけれど、まぁなんとか。連絡ありがとな」

頭をかきながら、小さく会釈する当麻。

「ふーん。ま、いいけど。で、あんた、『私の時は』ちゃんと立ち会いなさいよね? わかった?」

腰に手を当てて、いいわね? という顔の美琴。

「へ?」

まだ結婚式すらも挙げていないのに、もうそう言う話なの? という顔の当麻。

美琴は、とりあえず当麻に憎まれ口を利いた事でよし、とみたのか、改めて麻美の方を見る。

本能か、御坂妹はさっと我が子を抱きかかえるようにして身体をかがめ、全身で守ろうという形になる。

「ちょっと、なにそれ? まるで私が敵みたいじゃないの? あんた、落ち着きなさいよね」

むっとした顔で美琴が言うが、御坂妹は背を伸ばしたものの、斜め半身になり、やはり我が子を美琴からは見えないように抱く。

「どうしたのですか、お姉様<オリジナル>?」

明らかに警戒している声で彼女は美琴に問いかける。

「どうしたのって……アンタのそう言うところ見ると、なんか私が悪役やってるように見えちゃうんだけどな……。

あのねぇ、姉として『おめでとう』ぐらい言わせて欲しいんだけれど」

「美琴……」

「あんたは黙っててくれる?」

いきなり剣呑な空気になる二人をなだめようとした当麻であったが、美琴は余計なお世話、とばかりにぴしゃりと彼の口を封じる。

「お姉様<オリジナル>、無事、産むことが出来ました。男の子でした……このミサカは、母になりました」

「そうね。おめでとう。あんたは私より人生の先輩になったわけだしね、これから大変だと思うけど。

子供って、あんたが飼おうとした猫どころじゃないんだけどさ? 覚悟は出来てる?」

「……ミサカは、この子はこのミサカが育てます。絶対に育てて見せます」

麻美は、そう言い切った。

しかし、美琴は覆い被せるように次の矢を放つ。

「その心がけは良いんだけどね、意気込みだけじゃどうしようもなんないことってあんのよ。

あんた、赤ちゃんの世話したことある? ネットで調べればいいなんて安直なこと考えてない? それにどうやって食べて行くの? 

この間の大騒ぎで、妹達<シスターズ>でここに残った連中が結構いてさ、只でさえ中途半端な能力者が多いのに輪を掛けちゃったから、女性に限らず余ってる仕事って少ないのよ?」

あまりの言いように、むかっ腹をたてた当麻は美琴に怒った声で注意する。

「美琴、止めろ。お前が心配なのはわかるけど、お産したばっかりの麻美に今からそんなこと言って、不安煽ってどうするんだよ?」

しかし、美琴も黙っていない。何を甘っちょろいことを、とばかりに

「バカね、現実は甘くないってことを教えてあげてんのよ。アンタだって自分の就職活動で、今の状況がどういうものか身に染みてるでしょ?」

「そんなことはわかってるさ。だけど、お前、じゃどうすればいいんだよ? お前がこの状況だったらどうすんだよ? 何か対策でもあんのかよ? 無責任に」

「うっさい! アンタは黙っててって言ったでしょーが? 聞いてなかったわけ?」

当麻と美琴の、いわば部外者二人の声が高くなる一方、肝心の当事者である麻美は黙ったまま。

そして、美琴が「うっさい!」と叫んだその瞬間、驚いたのか赤ん坊がギャーと泣き出した。



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