914:LX[saga sage ]
2012/10/21(日) 22:52:52.36 ID:UzgGY96z0
「お姉様<オリジナル>、子供が泣き出してしまいました……」
ど、どうしようと言う顔の麻美。
「バカね、そういうときはあやすに決まってるでしょ!?」
「あやすとは……?」
はぁ、とため息をついた美琴は、
「ああん、そんなことも知らないくせに、よくも『育ててみせます』だの言い切ったわね、あんた? 貸してご覧なさい!」とずいっと麻美の側へ来た。
だが、美琴がひったくるようにして赤ちゃんを抱き取ると、その子の声は更に大きくなる。
「お、おい、美琴、まずくないか」
「まずくないわよ! 泣いてる赤ちゃんにはね、こうするんだから……どこもおかしくないわよ!」
ほらほら、良い子だねー、あらーどうしちゃったのかなー、と赤ちゃんに笑いかけながら、必死に美琴は御機嫌をとろうとする。
しかし、そんな彼女の努力にもかかわらず、あんなちっちゃな身体からどうやったらこんな大声が出るのだろうか、と思うくらい赤ん坊は泣き続ける。
まさに「火のついたように」泣き声が大きくなるのに対し、美琴の顔からどんどん余裕が無くなっていくのがありありと見えている。
麻美がさすがに不安になり立ち上がろうとするのを当麻は見てとり、彼女の肩を軽く叩き(ちょっと待て)と合図したところで、
「あらあら、どうしました?」
看護士さんが部屋に入ってきたのだった。
彼女は部屋をざっと見て、美琴が赤ちゃんを抱いているのを見て、
「あら、お姉さんが? あ、ちょっともしかすると」
と麻美と彼女を見比べ、
「あなた、もしかして発電能力者<エレクトロマスター>じゃありませんか?」
と訊いてきた。
「え? そうですが……?」
その答えを聞いた看護士さんはビンゴ! と言う顔になった。
「でしょ? ミサカさんはジャマーつけてるから大丈夫なの。あなたの電磁波が嫌なんじゃないかな? ちょっと私に預けてもらえますか?」
看護士さんに抱かれ取られた赤ちゃんの泣き声は心なしか小さくなる。
「……」
「ほらほら、ねー? 良い子だねー、そっかービリビリが嫌だったんだねー? よーしよーし、ビリビリ怖いもんねー、ボクちゃん、もう大丈夫だからねー」
看護士さんは優しくそう語りかけながら赤ちゃんをあやしている。
(あ、その言葉は……ちょっとやばいんじゃ)
当麻が美琴の顔を見ると、彼女は赤い顔でブルブルと震えていた。
「まて、美琴!」
「お姉様<オリジナル>!」
当麻が右手で美琴の頭を押さえると、「バカ、ちょっと! ……ふぅぅぅぅぅぅ……」と彼女の沸騰しかかった圧力が四散するのを見て、麻美と当麻はほっとしたのであった。
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