927:LX[saga sage]
2012/12/02(日) 18:49:30.86 ID:fLg29DFl0
第十学区、再開発が予定されているのだろう、工事予定と立ち入り禁止の警告がそこら中に並ぶ区画の中にある、とあるビルの地下駐車場。
本来ならば誰もいないはずの場所に、うごめく者たちがいた。
「ずいぶん簡単だったな」
「超電磁砲<レールガン>っても所詮は女の子だったってことさ」
「で、レベル5の子供なら高く売れるだろ。どうよ?」
「ああ、その点は大丈夫だ。引き合いバンバン来てるし、全く問題ない」
「しばらくは食いつなげるか」
「そりゃ自分次第だな。無駄遣いすりゃ1日で使い切るし、うまく使えば5年は保つさ」
彼らは俗に言うスキルアウトであった。
学園都市に溢れる無能力者(レベル0)については無期限外出許可という名目で学園都市からの退出が可能になり、夢破れ、学園都市での生活に見切りを付けた彼らの多くは再び外の世界へと戻っていった。
だが、彼らは学園都市から出ることが出来ただけまだ良かった、と言えるだろう。
中途半端に能力が発現してしまった者たち、いわゆるレベル1あるいは2というランクの者たちは悲惨だった。
もちろん、彼ら自身の「ささやかな」能力を生かせる職に就けた者、能力を生かし自ら起業した者、技術を習得し職を得たもの、バイトから準職員、そして正社員になったもの等々、学園都市で生きる糧を得た者たちもいた。
だが、そういう人間は残念ながら彼らの全てではなく、一部にとどまった。
残りの人間のうち、あるものは意を決して能力を捨て、レベル0となることで外の世界へと戻っていった。
(単純に捨てる、ということは現実には不可能であり、危険な手術を行う必要があったが、それについては本筋ではない為省略)
そして、昔ながらの無法者、スキルアウトとなる者もまた多かったのである。
「うまく遺伝してくれてりゃいいんだがな」
「つか、男じゃなぁ」
「だよなぁ。女の方が高いのにな」
「ああ。万一無能力者でも女の子ならそれなりに使い道はあるわけだし」
「贅沢言ってるんじゃねぇ、さっさと決めること決めて、とっととずらかるぞ。長居は無用だ」
リーダー格の男はそう言うと、ワゴン車の中に作られた乳児用移送カプセルを開け、タクシーの中から御坂一麻(みさか かずま)と言う名前の赤ちゃんを抱えてくるとその中に寝かせた。
ワゴン車のエンジンを掛けた眼鏡の男は、リーダーらしきかの男が赤ん坊をカプセルに寝かし終えると、彼の機嫌を窺うように言った。
「なぁ、あいつ、どうなったかな」
「あん? ああ、気にすんな。運がよければ後で誰かが見つけるかもしれねぇし、運がなければ明日までそのまま、ってとこだろ」
リーダーらしき男は彼を見ずに即答した。駐車場入り口の途中で放り出し、階段室に放置した男、そう上条当麻の事など気にも留めていなかったのだ。
「そうだな。あれは無能力者だしな」
「しかし危なかったぜ。あいつ(無能力者)にゃAIMジャマーが効かないからな。催眠ガス使うハメになったのはやばかったな」
「ああ。肝心の赤ん坊が死んじまったら元も子もないからな。まぁ超電磁砲<レールガン>が母親らしくかばうだろう、という前提で流し込んだわけだがヒヤヒヤものだったぞ」
「まぁ何にせよ、練習通りうまくいって正解だったさ」
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