942:LX[saga sage]
2012/12/02(日) 20:30:18.33 ID:fLg29DFl0
そして、年月があっという間に過ぎた、とある日。
「お姉様、本当にお綺麗ですわ。黒子は、この御姿、一生忘れませんわ」
「ありがとうね、黒子。あんたも立派な淑女だわよ……あれ、ご主人と孝太郎くんは?」
「孝太郎はベビーシッターに預けておりますの。御迷惑をおかけしそうですから。
それから、健介は急遽打ち合わせということで、先週から海外出張中ですわ。
本当なら昨日帰ってくるはずでしたのに、ちょっと長引いているようで、まだ帰れないという電話が一昨日ありましたの。
それで、お姉様には本当に申し訳ありませんが、主人はドタ、いえ、出席がかなわなくなりましたの」
「ああ、気にしなくて良いから。それじゃ仕方ないでしょ? あんたのところも大変ね……」
「み、御坂さん、遅くなっちゃって済みません! このたびは、ほ、本当におめでとう御座いますっ!」
「うわぁー、初春さん、こんにちは! ゴメンね、忙しいんでしょ? どうかなと思ったんだけど、来てくれて有り難う」
「そんなぁ、とんでもないですよぅ、今日は大手を振って休んじゃいましたから! 2次会でも3次会でもオッケーですから!」
「うんうん、初春も出会いがない職場だからねー、真剣さが違うよねー」
「そ、その声は? さ、佐天さんですかっ!?」
「おー、覚えていてくれたのー? じゃ早速再会を期して……うーいーはー」
「こらっ! 佐天さんたら、こんなところで何しようとしてるの? お止めなさい!」
「キャッ? あ、その、えへへ冗談ですって……って、あの、もしかして固法先輩、ですよね?」
「半分正解ね。黒妻って言って欲しいな? ふふ」
「えー、やっぱりそうだったんですかぁぁぁぁぁ??????」
「キャー」
「お久しぶりで御座いますの」
「えっと、漣さん、よね? 本当だわねぇ。ご無沙汰しちゃって。あら、初春さん? ちょっと今日のそのお花、派手すぎない?」
「そ、そうですか? 今日は量を減らして、質で勝負のつもりだったんですよぅ」
かつての177支部の仲良しメンバーが集う。
結婚し妻となり、子供を授かり母となった人間もいれば、未婚の人間もいる。
だが、その一角は、あたかも時計の針が8年ほど戻ったようだった。
「お姉様、控え室に戻る時間です、とミサカはタイムスケジュール通りに事を進めます」
「そう? 有り難う。じゃ行きましょうか」
それは、検体番号10039号、彼女に新たに付いた名前は御坂美子(みさか よしこ)といい、美琴の秘書である。
今日は彼女は美琴の影役をする必要は全くない。
検体番号19090号こと御坂琴子(みさか ことこ)のアドバイスを受けた、凛としたスーツ姿である。
「わぁホントに御坂さん、そっく……痛い痛いですって!!!」 と、思わず声に出てしまった佐天涙子を漣黒子が思いきりつねった。
(思っても口に出すのは子供ですわよ!)と。
「御坂さーん、じゃ式場で待ってますねー」
「お姉様、それでは!」
「御坂さん、おめでとう御座います〜!」
美琴は、かつてのメンバーと別れ、御坂美子と共に控室へと足を運ぶ。
今日は晴天、結婚式に相応しい、本当に「お日柄もよい」日になった。
1002Res/1293.21 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。