過去ログ - まどか「わたしが、わたしたちが、魔法少女だ」
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44:修正[saga sage]
2011/07/25(月) 11:52:25.31 ID:Q1HPZ14X0
 帰宅すると、母親が泣き付いてきた。戸惑うさやかに嗚咽を漏らしながら父親が叱責する。学校で起きた異常事態で行方不明になっていた娘。さやかは得心すると、母親を宥め、自室に入った。正直、それどころではないのだ。
 暗澹とした室内。暗闇の中、ベッドに横たわってオーディオを起動させて音楽を流す。気分が落ち込む時はいつもこうする。幼馴染の演奏を聞くのが、一番心休まるのだ。
 穏やかな反芻の中、携帯電話が容喙をしてきた。郷愁に浸りたい欲求と他人と交流したいという欲求がひしめきながらディスプレイを観る。相手はほむらだった。そういえば、ほむらが自分に電話を掛けてきたのは初めてだ。内容は魔法少女のそれだろうけれど、それでもその事態がなんだか嬉しくて、心を弾ませて電話に出た。虚勢を張るさやかに対し、ほむらは神妙だ。しかし、たださやかの安否を確認したというだけで、無粋な穿鑿はしてこなかった。それがさやかにとって尚の事、嬉しかった。
 出る時とは対し横溢した元気を振るって別辞を交わし、さやかはほむらとの通話を切った。携帯電話を枕元に放り。嘆息する。

さやか「あっ・・・・・・ほむらにかずみのこと、伝えてないや」

 どうしようか。折り返して、伝えようか・・・・・・いや、良いか。心からしこりが取れたような気がすると、急に睡魔が襲ってきた。オーディオを停止させ、胸を落とす。意識もまた、深い眠りの底までゆっくりと落ちて行く・・・・・・。


 ぼやけた視界。前には黒い影が浮かんでいる。人?人みたいだ。突き出たのは頭で、両側に広がっているのは肩――それが、突然落下した。次に浮かんだのは、赤い物。いいや、僅かに薄黄色も混ざっている・・・・・・?違う、赤だ。しかし、鮮烈な紅と、くすんだ黒赤が点々とした・・・・・・人の顔――驚きに満ちた――――杏子――!?


 さやかは跳び起きた。杏子の顔が連続して脳裏に浮かんでくる。それを払拭したくて、頭を掻いた。呻きを挙げ、がりがりと、痛みが、心地良かった。
 しばらくして、気息奄々と項垂れた。杏子の顔――自分は、彼女がそんな顔をすることを知らない。きっと、夢なのだろう。今までも、こういった夢は何度も見た来たじゃないか。これもその一つだ。くだらない、考える必要なんてない。顔を伝う汗。パジャマが溢れ出た汗で濡れたのを実感すると、着替えを持ってバスルームに降りた。熱いシャワーが心地良かった。
 バスルームから出て、用意した部屋着に着替えると、ふと洗面台の鏡を見た――正面に向こうとする後続の口角が、一瞬吊り上がったような気がした。でも、正面を向くと、特にそんな様子はない。気の所為だったのだろう。頬のマッサージをして、母から学校が臨時休校になったことを聞き、それじゃぁみんなで気分転換に外出しようかと胸を躍らせて、自室に上がり、鏡で身だしなみを整える。ふと、まどかのリボンが目に浮かんだ。

「あれ・・・・・・可愛いよね」

 自然と口に出した。そのとおりだ、可愛い。自分も、ピンだけでなくリボンを付けてみようか。もしもリボンを付けた自分を見たら、恭介はどう思うのだろうか?照れたり、誉めたりしてくれるのかな?



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