過去ログ - 唯「あずにゃんが横浜のドラフト1位!?」憂「クライマックス!」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]
2011/07/27(水) 13:42:13.17 ID:B52d7inW0
家に帰って、重たい体をベッドに放り出す。
携帯を開いてみると、澪からの返信が届いていた。
いちごのアドバイスに沿ったものを買った、という旨の文と、その商品の写真が添付されていた。
いちごは、自分でも築かぬうちに、澪への発信ボタンを押していた。
何回かのコール音ののち、澪が嬉しそうな声で電話に出た。
『若王子さんが電話くれるなんて珍しいね。どうしたの?』
あの子のことを話すのは、あの母子に失礼に思えた。
かと言って世間話をするような気分でもない。
本当に自分はなぜ電話をかけたのだろうと苦笑した。
「あー、いや別に。クリスマスパーティー、うまくいきそう?」
『うん。あ、そのパーティー、高校時代のバンド仲間でやるんだよ』
やっぱり。
『懐かしいなー。あの頃。若王子さんは私たちの演奏聴いてくれたことあったんだっけ?』
「三年の時ライブの受付とかしてたし、少しくらいは」
話すことはないが、自分からかけた電話だ。とりあえず少し話を合わせて、会話らしいことをしておこうと思った。
「ライブってやっぱり楽しかったの」
『うーんどうだろ…最初は緊張してばっかりで楽しいどころじゃなかったなぁ。
でも慣れてくると、自分の演奏で喜んでもらえるのが嬉しいんだよ。
『もっと喜んでくれてる顔が見たい!』って素直に思えるんだ』
「へぇ…」
『でもあんまり欲張りすぎると駄目だったな。あれもこれもやってみたいって、失敗したりさ。
自分が精いっぱいできることをやった時が一番ウケがいいし、自分も楽しかった』
その後もしばらく、他愛のない話を続けた。
会話が終わって電話を切ってからも、澪の話で気にかかった言葉がぐるぐるとリフレインした。
『自分が精いっぱいでいることを』
なぜだか、グローブを受けとらなかったあの子の顔が思い浮かんだ。
お父さんとのつながりを抱きしめ続けたあの子を。
『わたくしの杯は大きくはございません。
それでもわたくしはわたくしの杯で戴きます。』
何かで読んだ言葉だ。
さして印象深い本でもなかったのに、この言葉が急に思い出された。
いちごは、ふぅ、と細く長い息を吐いて、もう一度澪に電話をかけていた。
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