過去ログ - 吹寄「上条。その……吸って、くれない?」
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11:nubewo ◆sQkYhVdKvM[saga]
2011/07/16(土) 02:27:11.14 ID:gKHRPC68o

どうするもこうするも、出さなきゃいけないといわれれば、出す先なんて選択肢はそうそうない。

「手洗い場は、部屋の隅にあるけど」
「知ってるわよ。……やっぱり、そういう所に捨てなきゃ、駄目かな」
「嫌、か?」

吹寄の声の響きにはっきりと否定的なニュアンスを感じて、上条は聞き返した。

「正直に言うと、ちょっと。赤ちゃんは授かってないけど、でもこれは、赤ちゃんに飲ませるためのものなわけじゃない?
 それを排水溝に、って。やっぱり、ね……」

吹寄とて、女としてやっぱり授乳というものには、夢というか、そういうものを感じるのだ。
子供を授かって、その子の口に含ませるのが、やっぱりいい。
原因はなんであれ、初めて出した母乳を下水に流すなんていうのは、嫌だった。

「そっか。ごめん、またデリカシーのないこと、言っちまったな」
「いいわよ。それが普通なのは、判ってるし」
「同じ理由で、ティッシュに含ませるのも駄目だよな」
「駄目って言うか……仕方がないなら、そうするわよ」
「じゃあ、諦めてそうするか、我慢してこのまま病院に行くか、のどっちかになるのか」

このままブラを付け直して病院に行くという案は、吹寄には受け入れがたかった。
上条はおそらく理解していないのだろうが、そんな少しの量ではないのだ。
ブラどころか制服まで染み出して、変な濡れ方をするに決まっている。

「まあ、誰かが飲むって選択肢もあるにはあるけれど」
「え?」

その選択肢を選ぶには、近くから赤ちゃんを探してくる必要がある。
しかし、どんな理由で出たのかもよくわからない自分の母乳なんて、小さい子には飲ませられないだろう。
……吹寄はそういうつもりで言ったのだが、上条には、別な意味で伝わっていた。

「その、吹寄は嫌じゃないのか?」
「嫌、って。むしろそれは相手に言うべきことじゃないかしら」
「……俺なら、嫌なことは、ないけど」
「俺……って? 上条、どうして貴様が嫌がる必要があるのよ?」
「え?」
「えっ?」

カーテン越しに、疑問のやり取り。
一瞬後に、吹寄は一体上条がどういう勘違いをしたのか、理解した。

「――?!?! ちょ、ちょっと上条! あたしはそんなつもりで言ったんじゃないわよ!
 た、ただ近くに小さい子がいて、その子に飲んでもらう的な、ああもう、何を言わせるのよ!」
「わ、悪かった。俺が悪かった! だから頼むから、それ以上俺の勘違いを抉らないでくれ!」

恥ずかしさに窒息しそうになりながら、上条は謝った。
だって、いくら動転しているからって、吹寄のおっぱいを、自分が吸うなんて。
吹寄も頬を染めてあちこちに視線を揺らしながら、必死に心を落ち着ける。
上条は現実的な解決策を考えていてくれたのだろう。
確かに、飲んでもらうなんて言い方をすればその相手は自分だと勘違いされても、おかしくなかった。



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