過去ログ - 吹寄「上条。その……吸って、くれない?」
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7:nubewo ◆sQkYhVdKvM[saga]
2011/07/16(土) 02:22:31.25 ID:gKHRPC68o

「吹寄。その、事情を聞いてもいいのか?」
「……」
「一応もう一回言っとくけど、誰にも喋ったりしないし、笑ったりもしない。
 俺以外に呼んで欲しい人がいるなら探しに行く」
「……いい。別に、人を呼んでもらっても仕方ないし」

それだけ言って、吹寄はまた黙った。出て行くわけにも行かない上条は、吹寄の言葉を待つほかなかった。
吹寄は、心の中で上条を吟味する。
上条は、秘密を守ってくれる人だろうか。体の異変を笑ったりはしないだろうか。
信じられる、と吹寄は思った。
上条はバカだしスケベだし不幸だーなんて叫びまわるやる気のない男だが、
不思議と、人として信じられないと思ったことは無かった。
カーテン越しの、上条を見つめる。直立でこちらを伺っているようだ。
心配してくれているのだと、思う。ふう、と上条に悟られないよう、吹寄は息を吐いた。
上条のおかげだとは認めたくないが、少し、背負っていた重荷が、軽くなった気がした。
不安に押しつぶされそうなときに、居合わせてくれたのが上条だというのは悪くなかったのかもしれない。

「ごめん、上条。ちょっと動転していたわ。病院に、行けばいいだけなんだけれど」
「俺のことは気にするなよ」
「っていうか、人の裸、見たのよね」
「ごめんなさい」
「ったく……上条当麻はいつ何時でも上条当麻なのね」
「どういう意味だよそれ」
「貴様は不幸だ不幸だっていう割に、この手のアクシデントには愛されているのね、って思っただけよ。大覇星祭の時にも思ったけど」

カーテン越しに上条は、吹寄がふぅとため息をついたのを聞いた。
少しは、気持ちを楽にしてくれたのだろうか。

「調子、悪いのか」

上条は何度目かになるその問いかけを、もう一度してみた。
うん、と吹寄は生返事をして、打ち明けようかどうか迷ったらしかった。

「絶対に誰にも言わない?」
「ああ。約束する」
「絶対に?」
「絶対にだ。信用ないかも知れねーけどさ、お前が真剣に悩んでることを、馬鹿になんてしない」
「うん。ごめん、それじゃ、貴様に話しても仕方の無いことだけど、聞いて欲しい」

吹寄も、その不安を一人で溜め込むのは、限界だった。
正直、男子にこんな話をするのは、恥ずかしいしおかしいと思う。
だけどなまじ女じゃないだけに、打ち明けられるというところもある。
手元のブラを、ぎゅっと握る。
躊躇う気持ちを押さえつけて、吹寄はぽつりぽつりと、口を開いた。

「胸が。……その、ちょっとおかしくて」
「胸が、おかしい?」



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