過去ログ - 吹寄「上条。その……吸って、くれない?」
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nubewo
◆sQkYhVdKvM
[saga sage]
2012/01/30(月) 14:55:26.09 ID:hvxFzFvQo
「今日の昼は、どうする?」
「……たぶん、夕方までもつことはもつと思うけれど」
「じゃあやめとくか?」
「貴方が無理なら、別にしなくても大丈夫」
「いや、俺に別の用事はないし、その、吸っていいなら」
「……じゃあ、仕方ないわよね。それじゃ昼も、いつもどおりに」
「ん」
「今日も、ありがとう。当麻」
「どういたしまして。愛してる」
「うん」
毎日、吹寄は律儀にありがとうといってくれる。そんな言葉は要らないと上条は言ったのだが、吹寄は辞めなかった。
毎回、礼なんていいと言い返すのも悪いので、最近は素直に受け取って、キスを返すようにしていた。
合わせた唇を、すっと離す。これが、終わりの合図だった。
時計を見れば、始業まで五分。頃合だ。
「じゃ、ブラ留めるから」
「ありがと」
ぎゅっとカップを引き寄せて上条がパチンとフロントホックを留めた。
僅かに後ろを向くようにして、吹寄はおさまりきっていない胸をブラのカップの中に入れるようにして整える。
その間に、上条はたくしあがったキャミソールを下ろしてくれた。
二人して、立ち上がる。見下ろしたグラウンドには、ギリギリに学校に駆け込む学生達の姿。
早朝にここにくるようにしてから、随分とああいう状況とは無縁になった。吹寄は元から無縁だったが。
吹寄の髪の乱れを手で梳いてやる。その間に、吹寄がキャミソールの裾を丁寧にスカートの中に仕舞った。
軽くセーラーを整えて、吹寄の準備が整った。
「ほら当麻。貴方も髪、変になっているから」
「サンキュ」
少し背の低い吹寄が、見上げるようにしながら髪を整えてくれた。
そして崩れる要素なんてない気はするのだが、学ランの襟元を直して、ほこりを払うように軽く背中を撫でてくれた。
「行きましょうか」
「一緒に?」
「……バカ」
「悪い」
一緒にいられなくなる、この瞬間が一番寂しいのだ。
人の目があるから、この部屋から出るときは時間をずらさなければならない。
それが、吹寄も上条も嫌だった。
「先に行ってるから」
「うん」
朝の最後の、キスを交わす。
そして上条は、ダンボールで作った死角から離れ、教室の出入り口の扉に、手をかけた。
ガラガラという音と共に、上条が離れていく音がする。
その、間際。
「上条君?」
「ひ、姫神?」
扉が閉まっていくと同時に、上条が知り合いに出くわした声が、フェードアウトしていった。
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