過去ログ - かがみ達は深い霧に囚われたようです
1- 20
136:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/01(月) 18:18:01.38 ID:vyHZ93aso

 心臓が跳ね上がり、耳鳴りがキンキンと叫び声をあげる。
それは激突が繰り返されていた部屋の上手側ではなく下手側、つまり私達の居る入り口側の窓で起きた。

 轟音と共に固く閉じられていたカーテンが捲れ上がる。
以下略



137:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/01(月) 18:18:49.17 ID:vyHZ93aso

 ほとんどはみゆきの言葉の通り、たしかにそれは例えるなら蛾のような生物だった。
しかし彼女の形容と違い、その体は全体が黒く濁っていた。
昆虫のような、ともすれば美しく見える漆黒では決してなく、コールタールを適当にぶち撒けたような歪んだ配色。

以下略



138:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/01(月) 18:20:08.83 ID:vyHZ93aso

 『それ』は突然に動きを止めたかと思うと、巨大な翅をばたつかせ始めた。
まるで初めて空を飛ぼうとしているかのように、その動きはぎこちない。

 さあ、今すぐそこの消火器を手にとってあの気色悪い生き物を叩き潰せ。
以下略



139:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/01(月) 18:21:30.42 ID:vyHZ93aso

 今や『それ』の空を飛ぼうとする試みは達成しようとしていると思えた。
翅の動きは既に目で捉えられる速度を越え、十万の蛾が羽ばたいたような低音を発している。

 視界の隅からゆっくりと、みなみちゃんの姿が消えていった。
以下略



140:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/01(月) 18:22:33.89 ID:vyHZ93aso

「……お姉ちゃん……」

 止まない耳鳴りの向こう、背後から押し殺すようなつかさの声が聞こえた。
視線は決して『それ』から外さないまま、その声に耳を傾ける。
以下略



141:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/01(月) 18:23:54.13 ID:vyHZ93aso

「ゆきちゃん……お願い、一緒に……」

 ひときわ大きな羽音をあげて、『それ』が飛び上がった。
空の飛び方を確認するように、ふらふらと宙を動き回る。
以下略



142:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/01(月) 18:26:21.32 ID:vyHZ93aso

 『それ』は二人目がけて一直線に突進する。

「ゆきちゃん……」

以下略



143:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/01(月) 18:26:54.60 ID:vyHZ93aso


(助けて、かがみ)




144:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/01(月) 18:27:38.34 ID:vyHZ93aso


 こなたの声が、聞こえた気がした。




145:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/01(月) 18:28:49.60 ID:vyHZ93aso

「――――――ぁぁぁぁぁぁあああああ!」

 弾かれたように体が動いた。
二人を追い越して床に落ちた枕を拾い上げると、大きく振りかぶって飛んでくる『それ』目がけて振り下ろした。
以下略



146:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/01(月) 18:30:24.94 ID:vyHZ93aso

 やがて『それ』がぴくりとも動かなくなると、私は一つ大きく息を吐いてその場に座り込んだ。

 両足の感覚は消え、左肩が鈍く痛む。
ひび割れた唇の端が切れ、乾ききった口の中には濃厚な鉄の味が広がる。
以下略



324Res/151.71 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice