過去ログ - 【ポケモンSS】タイトルは決まっている
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67: ◆.Br/vY/Hx.[sage]
2011/07/28(木) 03:23:25.89 ID:Khk66atW0
第15話
 
 ヤミカラスが宙を舞い再びウルの右肩にそっと足を置く。
 ガルドとシズクの間に割って入ったウルは凍りつくような視線でシズクを見た後、微笑を見せる。

「ウル〜俺はこんな奴に負けたりしないぜ? 騙し打ちなんてお前らしくもない」

 少し怒り気味の態度。
 これまで戦闘に興味が無い様子であったウルが突如割り込んでくるのも違和感がある感じであった。

「お前……気付かないのか?」
「あぁ?」

 ウルは振り返り冷めた瞳でガルドを睨む。その圧力に思わずビクッと気圧されてしまうガルド。

「あ、相性の事か? 確かに俺のは毒タイプだが……」
「違う。相性の問題では無い、単純にイーブイがあの"レッド"が所持していたものかもしれないという事だ」

 戦闘を一時中断したウルは、そう一言残すと再び二人に背を向け元の場所へと戻って行く。

「女ッ、俺達の目的はあくまでそのイーブイだ!迂闊に獲物を敵の前に見せるのは得策ではない」

 忠告。戻り際に振り返りシズクに告げる。

「……」

 "悪の組織" それとは掛け離れているウルの行動に戸惑いを覚えない訳が無い。
 シズクだけでなく、その様子を見ていたルリカもジルも同様にそう思ったであろう。

「あー、長引かせるのも面倒だ!! 悪いがもう潰させてもらうぜ」

 あまり気の長い男では無いようだ。ウルの指摘を受けてかこめかみに血管を浮かばせ怒りを露わにする。

「それってお前の事じゃね?」
「そうやね」
「最初からこうすれば良かったのよ」

 気が付くと、ガルドとマタドガスの周りを複数のポケモンが囲んでいた。
 "ピジョン" "ニドリーノ" "ニョロゾ" "コリンク" "ピッピ"
 そう、他のギャラリーのトレーナー達が、事態をおさめようと自らのポケモンを展開したのだ。
 その様子に怯む事無く不敵な笑みを浮かべるガルド……

「ルール無しなんだろ? おっさん」

 ピジョンを腕に乗せた細見の鳥使いの青年が強気に言葉を投げつける。


―――

「お、おい!! やめろ、お前ら」

 その様子を少し離れた位置で見ていたジルは驚いた表情と共に止めるように一歩前に出る。
 ジルは半端に刺激するべきじゃないと……策を考えていたが思わぬ行動だった。

「ふんッ」

 ウルは"くだらん"と言わんばかりに鼻で笑うと背を向けて教室の一番隅の方まで歩いて行った。
 そのウルの様子を見てジルの脳裏に過る。最悪の事態。

「ドガースッ!! "ヘドロばくだん" "スモッグ" "えんまく"だ!」
「させるかよ……
「おーっと、迂闊に攻撃すると"だいばくはつ"を誘発するぜ? 一緒に逝っちまうか? はーはっはは!!」

 囲まれても焦った様子を見せなかった余裕の正体。
 この距離で"だいばくはつ"を使用すればポケモンはもちろんトレーナーの命にも関わる事になる。
 そのガルドの挑発的な言葉に足が竦んで攻撃の指示を上手く出せない他のトレーナー達。

「思い切りは良かったが残念だったな」

 ガルドの笑い声と共に"マタドガス"が指示を受けた3つの技を同時に繰り出す。
 周りのポケモンにヘドロやガスを吹きつけながら体中からガスが吹き出し、ルリカ戦同様視界を奪っていく。

「こいつ等は全員、毒を受けただろうな〜! 物持ちの良いガキも、これだけのアイテムは持っていまい。
 さぁ、イーブイを差し出すなら……この部屋の扉を開けてやろう! はーっはははははは!」

 薄黒く包まれた"えんまく"の中にガルドの声だけが響き渡る。
 鳥使いがピジョンに"ふきとばし"を命じるも毒で体が上手く動かないようで技を繰り出せない。

――




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