過去ログ - 【ポケモンSS】タイトルは決まっている
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◆.Br/vY/Hx.
[sage]
2011/07/28(木) 03:25:11.16 ID:Khk66atW0
毒ガスに包まれ次々と倒れて行くポケモン達……
……
「お前のせいで、皆が傷ついているぞ」
距離がある。聞こえるはずが無い擦れた小さな声がシズクの耳には確かに聞こえた。ウルの声である。
「どうしよう……どうしよう?どうしよう!?」
混乱し、訳が分からなくなる。ゴホッゴホッと"えんまく"の煙に咽ながらも頭を抱え込む。
ただ単にこの事態がシズクのせいだという罪悪感で混乱に陥った訳ではない。
シズクにはイヤでも聞こえてしまう。
……
この煙の中で毒に苦しむポケモン達の嘆きの声が……
意識している訳では無い。勝手に頭の中に流れ込んできてしまうのだ。
「どうしよう……」
しゃがみ込んで両手に顔をうずめてしまう。
「おい!? 大丈夫か?みんな?ゲホッ……、クソッ。壁際まで走れば、この煙を抜けられるのか?」
盛大に吹きだしたガスは先程のヒトカゲとのバトルとは比べモノにならないほど膨大な量である。
一気にこの教室全体を包み込んだ。ウルが隅に退いた事から、四隅はぎりぎり安全なのかもしれない。
しかし、方向感覚さえ奪われ、広がり薄められたとはいえ"毒"を有する煙の中。そんな余裕がある者はいない。
「……」
罪悪感とポケモン達の悲痛の声に襲われたシズクの瞳から無意識に一粒の涙が零れ落ちる。
もはや、シズクの頭の中は真白である。何も、考える事はできないだろう。
(泣いているのか……?)
シズクの頭の中に問いかけるような一言。リオルの声では無い。
もっと、威圧感があり、低く包容力のある落ち着いた支えになる声。
「……」
その声にシズクは顔を上げ我を取り戻す。
(私は……お前を守る為にここにいる)
直接頭に話かけるその声の主を理解するシズク。
すると、一気にシズクの表情に活気が満ち溢れ……立ち上がる。
「ごめん。本当はあなたは……」
(構わないさ)
流れる涙を腕で拭き取り両手で頬をパンパンと叩いて瞳を開ける。
そして……ゆっくりと、トレーナーズベルト"左後方"から一つのボールを手に取り胸元で強く握る。
紫色のボールに赤い装飾、真ん中に書かれた一つの"M"の文字。
そう"マスターボール" ……
「お願い!!」
続く…
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