4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/07/22(金) 05:10:24.76 ID:J8mzbhI+o
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「人斬り抜刀斎!」
明治十一年、東京の下町。
帳は下りきり、満月が世界を照らし出す中、二つの影が対峙していた。
片方の青い影――青い胴着に身を包んだ少女は、手に持つ木刀をもうひとつの影へ突きつけている。
先ほど叫んだからか、それとも宿敵を見つけ打ち震えているのであろうか少々息が乱れている。
そして木刀を突きつけられた――赤い影は。
「おろ」
何がなんだかわからない、とでも言いたげな表情で困惑していた。
「とぼけるんじゃないわよ、こんな夜中に廃刀令を無視して刀を持ち歩く人間はただひとりよ」
そう、赤い影――朱の長髪、女性にも見えるような中性的な顔にある場違いな紅の十字傷、センスがいいとはいえない赤い着物。
赤で塗り固められた男の腰には鞘に納められた刀があった。
少女が言うように明治十一年は廃刀令が如かれ、現代でもそのルールは銃刀法違反という形で残っている。
そういった違反行為を行う人物、まして今は夜である。
男は徹底的に不審者であった。
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