過去ログ - ダイブ イン ダンジョン
↓ 1- 覧 板 20
15: ◆Q6CGh0.8HA[saga]
2011/07/24(日) 00:04:52.80 ID:PczzSqKSO
「……天井がある」
靄がかかった状態の頭が思い付いた率直な感想だった。
「んっ……」
瞼と胃の腑に妙な重さが落ち、全身の筋肉が強張りを持っている。どうやら、私は眠っていたようだ。
「此処は……お家?」
「目が醒めたんだな。いやー、良かった良かった。あ、ホットミルク飲むか?」
「あ……はい……」
何やら顔に雷の刺青を入れた強面のお兄さんが居るのだが、誰なのだろうか。
親切にしてくれるところを見ると、知り合いのようなのだが頭が働かない。
「トラウマになっちゃったんだねぇ。考えりゃ、君みたいな純粋な娘が傷を負わないワケねーよな。配慮足らんかったわ」
トラウマって……あぁ、そうだ。私は都会に出て来たんだ。
それで、魔の王を倒そうと言ったら笑われて、逃げて、この人が……あ。
「さっきの意地悪なお兄さんだ……」
「あ?あぁ、ま、確かに意地悪になるのか。いや、意図したワケじゃねぇが」
そうだ。私は倒れたんだ。この人に出来たばかりの傷をさらに抉られて。
うーん、何とも情けない話である。
ん?なら、此処に連れてきたのはこの人なのか。ずっと診ててくれたようだし、ホットミルクもくれた。
……そんなに悪い人ではないのかも。
「あ、あの、ご迷惑をかけてごめんなさい。それと、助けて頂きありがとうございました」
「いいのいいのー」
「それで……その、此処は何処、何ですか?」
「君が取ってた宿だよ」
「私が……?」
確かに、私はギルドに行く前に宿を取っている。
でも、そのことをあの短い会話の中でこの人に伝えた記憶はない。
「もしかして、探してくれたんですか?」
「知らぬ部屋に女の子入れるのは流石に気が引けるからな」
「本当にありがとうございます」
分かった。確定した。この人は少し強面で、それをさらに引き出たせる雷光が顔に走っているけど、いい人だ。
悪いことされるなら、私が寝ている間にとっくにされている。
「だから良いって。俺、結構打算で助けてんだし」
38Res/25.92 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。