過去ログ - ダイブ イン ダンジョン
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16: ◆Q6CGh0.8HA[saga]
2011/07/24(日) 00:06:46.82 ID:PczzSqKSO
彼は褒められた子供のような照れ笑いをした。

まだ脳が寝ているのでなければ、少し不安になる単語をさらっと放った気がする。

「ははは、打算ってそんな」

「おう。何かなきゃ、こんなことしねぇよ」

身体の芯から一気に寒さが広まった。

私の考えは何処までも浅い。世界の広さを知らないで、自分の小さな定規だけで計って完結して。

あぁ、そうだ。この場が私の取った宿だって保証は無い。だって、私は部屋の中は確認していない。

「意識戻ったなら、さっき言いたかったこと言わせてもらうわ」

大きな身体がベッドに横たわる私に近付いてくる。

次に出る言葉は金か、この身か、血か。

私は俯いて掛布を握り締め、せめてもの意地で身体の震えを抑えていた。

「勇者ちゃん、魔の王を倒すなら俺も一緒に連れていってくれ」

「えっ!?」

ナンダソレハ

「アハハ、犯されると思った?止めてくれよ、俺、こう見えても惚れた女以外抱く気ねぇから」

「おっ、犯されるって、その……はい……」

あんな事件が有ったというのに、私は相当に図太いようだ。

彼の快活な笑い声に身体の強張りが一気に解けると同時に、今まで散々に怯えたり疑いを持ったりするのがアホらしくなった。

一日と立たない付き合いだが、彼の人となりの本質が分かった気がする。

「思いますよ、そりゃ」

「盗賊みたいな顔だもんなー」

「さっきの冗談も止してください。びっくりします」


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