過去ログ - ダイブ イン ダンジョン
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34: ◆Q6CGh0.8HA[saga]
2011/07/30(土) 12:56:05.70 ID:mswEjedSO
その後、儀式は彼の粋な計らいでチーズと雑談を肴にした酒宴に変貌を遂げ、二人して朝からほろ酔いに浸かっていた。
途中で私がお互い名前を言ってないことを思い出し、自己紹介をしようと提案すると彼は
「面白くないし、名前なんぞ改めて言わなくて良いだろ。お前が勇者で俺が僧侶。それで良いじゃねぇか」
と言った。
「肩書きで呼び合うってことですか?でも、私勇者でもなんでもないです」
案自体に抵抗は無かったが、一応の反論。
「呼んだモノ勝ちだ」
全くその通りだった。呼び名は悪口でなければ、最低限お互いに分かることが出来れば自由だ。
勇者という言葉はこそばゆくて嫌だったが、酔っていたせいもあってかこの時の私は寛容だった。
「僧侶も?若干キツい気がしますけど」
私がそう言うと
「いや、俺僧侶だし」
2メートルに届きそうな筋骨隆々の男は軽く笑って応えた。
「いやいやいや、またまたそんな」
彼は酷く酔っているのだろうと思った。だって、どの角度から見ても戦士だ。
「いやいやいや、冗談じゃなくて」
「いやいやいや」
「いやいやいや」
いやいやいやの応酬は彼が証拠のメダルを出すまで続き、私は負けた。
「えっ、ええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
後に生涯最高峰の叫びを上げた私に宿に泊まっていた人はかく語る。
「お嬢ちゃん、あんたは目覚まし鳥の才能があるよ」
【雷背負う僧侶さん 終】
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