59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2011/07/27(水) 21:06:44.23 ID:Gafw+kPn0
ギィー、と古めかしい音をたてて教会の扉が開く。
ほむらはその時点で杏子との戦闘に入ることを覚悟していたが、誰か中にいる様子はなかった。
まるで人の気配もない。物音もない。静かな、無人の廃墟そのものだった。
「誰も……いませんわね」仁美が言った瞬間、いきなりほむらにその口を後ろから手でふさがれた。
「しっ!」小声で耳元に囁きかける。「杏子がきたわ」
「杏子って…!?」驚いて目を見開いた仁美が小声でたずねる。
「今朝私を襲ってきたゾンビよ」ほむらも小声で答えた。「心配しないで。友達なの」
「愉快な友達が多いですのね…」
「静かに」
二人が黙り込むと、外から教会に近づいてくる足音が聞こえてきた。足音は、まっすぐこちらに近づいてくる。
ほむらと仁美の二人が無言で目と目を合わしあう。
「あなたが出迎えて」
ほむらが仁美に指示した。こくりと仁美が頷き、扉の前に立つ。それから、スーっと深呼吸した。
これから、クラスメート・暁美ほむらのゾンビのお友達に対面だ。
ゆっくりと教会の入り口が開けられる。
扉の向こうに、赤髪のポニーテールの女の子が立っていた。口にポッキーを咥えている。
「んぁ?」と、怪訝そうな声を赤髪の少女は漏らした。
見たこともない女が父親の教会にいたのだから無理もない。「アンタは誰だ」
「美樹さんのクラスメートですわ」仁美が答える。
「ふぅん…」
美樹さやかと同じ制服を着ていたことから、そのことには納得したらしい杏子だった。「で、さやかはどこだ」
「中にいますわよ」仁美が返事すると。
「とにかく、アンタは脇へどきな」
杏子は言い、教会の中へ足を踏み入れてきた。「それから、ここはアンタみたいなお嬢ちゃんがくるところじゃねえ」
木片だらけの床を踏みつけけながら、杏子がさやかの名前を呼ぶ。
「おいさやか!いるか?」
寂静とした教会に杏子の声が響き渡る。
と、そのとき、トントンと後ろから誰かに肩を叩かれた。「お、さやか──」それをさやかだと思った杏子が振り返る。
しかしさやかだと思っていたその人物は、さやかではなく暁美ほむらだった。
開く扉の裏側の死角に隠れていたのだ。
「ぶおっ!」反応する間もなく顔面を殴られ、杏子は教会の床に突っ伏した。と同時に、起こっている事態を理解した。
ゆまとさやかの二人を監視につけたというのに、二人してやられてしまったらしい。
杏子は身を起こすと手に銃を取り出し、ほむらにむけようとしたが、その前に手首をほむらに押さえられ、
投げ技で肩から投げ飛ばされた。が、その転んだ拍子に足だけ振り上げてほむらのアゴを蹴り上げた。
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