238: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/08/13(土) 02:02:12.15 ID:Sa0tuZ+9o
「言ったでしょう?こんな冷たい温度じゃ、お姉さんアツくなれるわけが無いって」
そんな余裕を持った言葉を発しながら、ブフーラを止めるべく魔術を展開させた。
これによってブフーラによるツララで、
オリアナに直撃しそうなものは全て撃ち落とされた上、氷壁もバラバラに砕かれる。
しかし、その先にはオケアノスしかおらず、上条の姿はどこにも見当たらなかった。
「言っただろ?『お前を殴る』って」
「な!!?」
このまま遠距離で魔術とスキルの撃ち合いにすると見せかけて、上条は急接近していた。
先程オリアナが光の屈折を利用したように、その壁の向こうに上条が居ると見せかけて。
オリアナが一度使った作戦なのだから、彼女自身も光の屈折の事は念頭に置いていた。
しかしオリアナの視線の先、氷壁の頂上からオケアノスの頭が見えていて、
その下氷壁越しに上条の姿を確認していた為、そこに上条が居ると勘違いしてしまったのだ。
何せ、先程まではオケアノスは常に上条の傍にいたのだから。
風に飛ばされ距離のあった昏倒術式を刻んだ単語帳を切り裂く時でさえ、
命中するか分からないと言うのに剣を投げつける程で、
常に近くにいなければならないと勘違いさせられた、と言う訳だ。
「おっらああああああああああ!!!!」
「ッ!!!」
上条が気合いを入れて叫びながら、渾身を込めた一撃を、全身を乗せた一撃を。
男も女も、老いも若きも関係無しに、目の前の女の顔に、叩きこんだ。
この瞬間だけを黄泉川に見せたら、
「女を殴る為に教えた訳じゃ無いじゃん!!」と言って地獄の特訓を課しそうな程の一撃だった。
これによって、オリアナは脇に抱えた荷物を落とし、そのままゴロゴロと地面を転がる。
目の前に落ちている看板の様なものを見て、上条は呟いた。
「これをどうにかしたら、良いんだよな……?」
上条は少し後ずさりしながら、足の先でちょんちょんとその板に触れる。
下手に触って何かが起きたら、嫌だ。そんな気持ちがにじみ出ているのが見て取れた。
そんな上条をみながら、クスクスと笑う声が、一つ。
その声に対する心当たりも、一つ。
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