72: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/07/31(日) 21:22:06.33 ID:KC1gFRQvo
最早戻れない場所。
戻れないとはいえ、変わらずそこに在るだけで、安心できる場所。
触れられないとはいえ、いつまでも大切にしたい美術品のように、
どこまでいっても変わらず在ってほしいと思っていた場所。
その場所は、神裂の望み通り、変わらずそこに在った。
ローマ正教を相手にして、無傷で相手を完封している様子を見て、無事に終わりそうで良かったと思う。
すると、そんな神裂の背後から隠そうともしない足音が一つ。
「いやー、ねーちん感極まるってとこですかい?
天草式がねーちんの意思の下、オルソラを守る為に動いてただけってことがわかって」
「……土御門ですか、結局そちらの首尾はどうなんですか?
『法の書』を横から掠め取る、と色々画策していたようですが」
神裂は、そんな土御門元春に一目も置かないで、引き続きオルソラ教会に目を向けている。
土御門もまた、静まり返ったオルソラ教会に目をやり、話を続けた。
「上々……なわけないですたい。何せ『法の書』はバチカンの奥の奥に安置してあるんだろうしな。
こっちにあるとか言う『法の書』はダミー。天草式に罪をなすりつける為だけに存在する偽書ってとこだろうにゃー」
ま、ローマ正教だしそんなとこだろうと思ってたけど。と興味なさげに土御門は言う。
この土御門と言う男、イマイチ言う事が嘘か本当か分からない。
ひょっとしたら先程の言葉が嘘で、実際には『法の書』を手にしているのかもしれないし、本当に偽書なのかもしれない。
ようするに土御門は嘘つきなので、いちいち真に受けていたらキリが無いと言う事だ。
そんなわけで神裂は、土御門の報告を話半分に聞き、やはり引き続きオルソラ教会を見つめている。
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