過去ログ - ひたぎ「これも、また、戯言よね」
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13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]
2011/07/30(土) 09:48:30.45 ID:ooW4dNWwo
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後ろ手で扉を閉じ、一歩進んだところで、背中から、
「羽川さんと何を話していたの?」
と声を掛けられた。
振り向く。
振り向くときには、まだ僕は、相手が誰だか把握出来ていなかった。
「動かないで」
その二言目で―――やっぱりわからなかった。目の前の女の子に、僕はまったく心当た
りがない。僕が振り向いたその瞬間、狙い澄ましたように、まるで隙間を通すように、僕
の口腔内にたっぷりとのばしたカッターナイフの刃を、通そうとしていたことも――振り
向くまでわからなかった。
しかし、この表現は少し正しくないかもしれない。何故なら、教室から出た瞬間、強い
殺気を感じたからだ。あそこを離れてから全く感じなかったそれを。だから、僕はこの状
況で最善であると思われる行動を、事前にとれた。
相手から距離を取り、ポケットから小型のナイフを取り出した。
本来利き手である左手は、いざというときに自由に使えるようにしたいのでナイフは右
手で構える。
「……………っ!」
彼女は驚いたようだが、カッターナイフを僕の口の中に入れようとした、そっちの行動
の方がこの場合おかしいのではないだろうか。何にせよ戯言かもしれないが。
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