過去ログ - ひたぎ「これも、また、戯言よね」
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23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:04:41.85 ID:ooW4dNWwo
「あら。阿良々木くん、右腕に時計をしているのね」
「ん?ああ。うん」
「ひねくれものなの?」
「先に左利きかどうかを聞いてくれよ」
「そう。で、どうなのかしら」
「両利きなんだ。期待に添えなくて申し訳ないね」
「……ひねくれものじゃなくて、皮肉屋だったのね」
「ただの詐欺師な戯言遣いだよ」
「――詐欺師……」
「どうかした?」
「いいえ、なんでもないわ。どうせそれも戯言なんでしょう」
よく意味はわからないが、なにかを納得したようだった。
そんなこんなで、四階。
元が学習塾なので、教室めいた造りの部屋が、三つあるのだが――どの教室も、扉が壊
れてしまっていて、廊下まで含めて一体化している状態。さて忍野はどこにいるのだろう
と、まずは一番近場の教室を覗いて見たら、
「おお、阿良々木くん。やっと来たのか」
と。
忍野メメはそこにいた。
真っ赤なアロハシャツをびっしりと着こなしたそいつは、ぼろぼろに腐食した机をいく
つか繋ぎ合わせ、ビニール紐で作った、簡易性のベッドの上に、胡坐をかいて、こっちを
向いていた。
僕が来ることなどわかりきっていたという風に。
相変わらず――見透かしたみたいな男だ。
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