過去ログ - ひたぎ「これも、また、戯言よね」
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32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:20:30.30 ID:ooW4dNWwo
「この場合、別に蟹じゃなくてもいい。兎だって話もあるし、それに――忍ちゃんじゃな
いけれど、美しい女の人だって話もある」
「へえ……月の模様みたいですね」
「まあ、お嬢ちゃんが行き遭ったのが蟹だっていうんなら、今回は蟹なんだろう。一般的
だしね。」
「なんなんですか、それは」
ひたぎちゃんは強気な調子で忍野に問う。
「そうでもないさ。名前は重要だよ。阿良々木くんにさっき教えてやったとおり、九州の
山奥で蟹はないからね。北のほうじゃ、そういうのもあるみたいだけれど、九州じゃやっ
ぱり珍しいよ」
「サワガニなら取れるんじゃないかしら」
「かもね。でも、それは本質的な問題じゃない」
「どういうことですか」
「蟹じゃなくて、元は神なんじゃないのかってこと。おもいし神から、おもし蟹へ派生し
たって感じ――もっとも、これは、僕のオリジナルの説だけどね。普通は、蟹がメインで
神が後付けだと思われている。真っ当に考えると、確かに、最低でも同時発生ってことに
なるんだけれども」
「普通も真っ当も何も、そんな化物は知りません」
「知らないってことはないよ。なにせ――」
忍野は言った。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「遭っているんだから」
「……………」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「そして――今だってそこに居る」
・ ・ ・ ・ ・
「何か――見えるって言うんですか」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「見えないよ。僕には何も」
そう言って、忍野は実に爽やかに、実に快活に笑った。
「見えないなんて、まるで無責任ですね」
「そうかい?魑魅魍魎の類ってのは、人に見えないのが基本だろう。誰にも見えないし、
どうやっても触れない。それが普通だ」
「………」
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