過去ログ - ひたぎ「これも、また、戯言よね」
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54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:51:46.49 ID:ooW4dNWwo
忍野は供物のうちからお神酒を手にとって、それをひたぎちゃんに手渡した。
「え……なんですか?」
戸惑った風のひたぎちゃん。
「お酒を飲むと、神様との距離を縮めることができる――そうだよ。ま、ちょっと気を楽に
してってくらいの意味で」
「……未成年です」
「酔うほどの量は飲まなくていいさ。ちっとだけ。」
「…………」
逡巡したあとで、ひたぎちゃんはそれを一口、飲み下した。それを見取って、ひたぎちゃ
んから返還された杯を、もとあった場所に、忍野が返す。
「さて。じゃあ、ますは落ち着こうか」
正面を向いたまま――
ひたぎちゃんに背を向けたままで、忍野は言う。
「落ち着くことから、始めよう。大切なのは、状況だ。場さえ作り出せば、作法は問題じゃ
ない――最終的にはお嬢ちゃんの気の持ちよう一つなんだから」
「気の持ちよう――」
「リラックスして。警戒心を、解くところから始めよう。ここは自分の場所だ。きみがいて、
当たり前の場所。頭を下げたまま目を閉じて――数を数えよう。一つ、二つ、三つ――」
別に――
僕がそうする必要はないのだが、ついつい、付き合って、目を閉じ、数を数えてしまう。
そうしている内に、思い至った。
雰囲気作り。
その意味では、忍野の格好だけではない、この注連囲いも神床も、一旦家に帰っての水浴
びも、全て、雰囲気作り――もっと言うならば、ひたぎちゃんの、心のコンディション作り
に、必要なものだったのだろう。
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