過去ログ - ひたぎ「これも、また、戯言よね」
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66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 11:09:09.28 ID:ooW4dNWwo
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 どうやら、僕と翼ちゃんはやはり全てを聞き出せていたわけじゃなかったようだ。
 まぁ、ほぼ初対面の人間に全てを話すほうが珍しいだろう。そこまで警戒心のない人間
が、今まで、誰にも気づかれないで暮らせるわけがないし。
「おもし蟹ってのはね、阿良々木くん。だからつまり、おもいし神ってことなんだよね」
 忍野は言った。
       ・ ・ ・ ・ ・            ・ ・   ・ ・ ・    ・ ・ ・ ・
「分かる?おもいし神ってことだ。また、思いと、しがみ――しがらみってことでもある。
そう解釈すれば、重さを失うことで存在感まで失ってしまうことの、説明がつくだろう?
 あまりに辛いことがあると、人間はその記憶を封印してしまうなんてのは、ドラマや映
画なんかによくある題材じゃないか。たとえて言うならあんな感じだよ。人間の思いを、
代わりに支えてくれる神様ってことさ」
 つまり、蟹に行き遭ったとき。
 ひたぎちゃんは――母親を切ったのだ。
娘を生贄のように幹部に差し出し、助けてくれもせず、そのせいで家庭も崩壊し、でも、
あのとき自分が抵抗しなければ、そんなことはなかったのかもしれないと、思い悩むこと
を――やめた。
 思うのを止めた。
 重みを無くした。
 自ら、進んで。
 ズルを――した。



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