過去ログ - ひたぎ「これも、また、戯言よね」
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67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 11:10:14.29 ID:ooW4dNWwo
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心の拠り所を――求めたのだ。
皮肉にも――母親と同じ――神様に――
「物々交換だよ。交換、等価交換。蟹ってのは、鎧を身に纏って、いかにも丈夫そうだろ
う? そういうイメージなんだろうね。外側に甲羅を持つ。外骨格で、包み込むように、
大事なものを保管する。すぐに消えてしまう泡でも吹きながらね。喰えないよねえ、あれ
は」
忍野は蟹が嫌いらしい。
軽いようで――何でもできるようで案外――不器用な男なのだ。
「蟹ってのは、解ったような虫って書くだろ?解体する虫ってことでもあんのかな。いず
れ、水際を行き来する生物ってのは、そういうところに属するものなんだよね。しかも連
中――大きな鋏を、二つ、持ってやがる」
結論として。
ひたぎちゃんは重みを失って――思いを失って、辛さから、解放された。悩みもなく―
―全てを捨てることができた。
できたせいで。
かなり――楽になったらしい。
それが本音だそうだ。
重みを失ったことなど――ひたぎちゃんにとっては、本質的な問題ではなかったのだ。
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