過去ログ - ひたぎ「これも、また、戯言よね」
1- 20
67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 11:10:14.29 ID:ooW4dNWwo
  ・ ・ ・ ・ ・ ・    ・ ・ ・ ・ ・
 心の拠り所を――求めたのだ。
 皮肉にも――母親と同じ――神様に――
「物々交換だよ。交換、等価交換。蟹ってのは、鎧を身に纏って、いかにも丈夫そうだろ
う? そういうイメージなんだろうね。外側に甲羅を持つ。外骨格で、包み込むように、
大事なものを保管する。すぐに消えてしまう泡でも吹きながらね。喰えないよねえ、あれ
は」
 忍野は蟹が嫌いらしい。
 軽いようで――何でもできるようで案外――不器用な男なのだ。
「蟹ってのは、解ったような虫って書くだろ?解体する虫ってことでもあんのかな。いず
れ、水際を行き来する生物ってのは、そういうところに属するものなんだよね。しかも連
中――大きな鋏を、二つ、持ってやがる」
 結論として。
 ひたぎちゃんは重みを失って――思いを失って、辛さから、解放された。悩みもなく―
―全てを捨てることができた。
 できたせいで。
 かなり――楽になったらしい。
 それが本音だそうだ。
 重みを失ったことなど――ひたぎちゃんにとっては、本質的な問題ではなかったのだ。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
94Res/88.14 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice