過去ログ - エリー「私と5つの物語……///」
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72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/05(金) 21:51:14.14 ID:rkRztRK1o
それからどのくらいそうしていたでしょうか。
背後から重い音がしてうっすらと光が射し込みました。
開かれた扉のむこうのかすかな光を背にした聖母像のような姿。
私はその黒いシルエットをただ無心に見つめていました。
アンリエット「こんなところにいたのですか……もう夜もかなり遅いのですから、部屋に戻りなさい」
雨は激しさを増しているようで、開いた扉から雨音が流れ込みます。
エリー「シャロは……」
アンリエット「シャーロックは……」
表情は見えません。
アンリエット「ヨコハマ大樹海付近で目撃されたという情報が入りました。何かを探していたようです」
エリー「探して……」
シャロの探していたもの……
アンリエット「とにかく、あなたは部屋に戻りなさい。あとの二人が心配するでしょうから……」
アンリエットさんのその言葉はもう私の耳には入ってきませんでした。
それは……お花。
確証はありませんが、私には間違いなくそうだと思えたのです。
シャロはなずなを探しに行って、道に迷い、遭難した。
私に花を贈るために。
いつの間にか再び闇に閉ざされた教会の冷たい石の床に私はひざをつきました。
もうなにも考えられませんでした。
ただ自分の身体をぎゅっと抱きしめ、目を堅く閉ざします。
それはたとえば、私のせいで行方不明になったとか、そんな問題ではもはやないのです。
私のためを思っていてくれたシャロのそのまっすぐな思いだけが、私の悲しみをただ増幅させるのです。
ステンドグラスに描かれたかみさまと聖母を見つめました。
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