22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/15(月) 23:50:36.85 ID:pH3mSkydo
―――三月二十九日、夜十時
まだ未完成の壕も多かったので、看護当番でない人は、壕堀り作業などをしていました。
その日も、昼夜続けて、私たちは病院の壕掘りをしていたのです。
「しゃらんら しゃらんら♪」
私は、ムギちゃんが澪ちゃんを従えてモッコを担いでいく様子を、横目で眺めていました。
「お、おいムギ、ちょっと待ってくれ!」
「ムギちゃんは、ほんとに力持ちだよねぇ…」
すると、本部壕に伝令に行ったりっちゃんが、和ちゃんとともに息を切らして走ってきました。
「おい!今から卒業式やるらしいぞ!みんな早く来いって!」
「え? 卒業式? こんな夜中に!?」
急遽、校長先生が首里城の司令部からいらっしゃって、卒業式を行うことになったのです。
「あ、私、制服持ってきてたんだ!本部壕に取りに行かないと!」
そう言った私を、和ちゃんが制します。
「唯!もう第一外科、第二外科は集まってるのよ!そのままの格好でいいから早く来なさい!」
作業の真っ最中だった私たちは、泥だらけのモンペ姿で出席することになったのです。
結局、大事な制服を着る機会はその後もなく、混乱の中で制服もなくなってしまいました。
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