49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/17(水) 00:12:36.69 ID:c+5+k8k3o
「伏せっ!」
突如、和ちゃんの声が響き、みんな、ためらいもなく泥の中に顔を埋めて突っ伏します。
着弾音。
周囲に砲弾の破片がバチャバチャと落ち、泥の塊が降りしきりました。
「……危ねえ」
りっちゃんが、ずれたカチューシャを直しながら起きあがります。
「うぅ……」
つややかだった澪ちゃんの黒髪も、ぬかるみの泥と壕生活の垢とシラミにまみれて見る影もありません。
南部への撤退の最中も、十字路や橋などを中心に、砲爆撃が盛んにありました。
ぬかるんだ道ばたには、艦砲や機銃掃射に遭ったり、
あるいは力尽き行き倒れた、たくさんの死体が転がっていました。
どぶ川には避難民の死体が浮かび、手や足のなくなった重症患者の死体が、雨に打たれています。
『助けてください!女学生さん!看護婦さん!』
負傷した避難民や兵隊が泣き叫んでいても、助ける余裕などありませんでした。
非情だと思われても、見捨てて進むしかなかったのです。
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