56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/17(水) 00:42:04.90 ID:c+5+k8k3o
非情な命令を伝えなければいけないさわ子先生の苦衷は察するに余りますが、
私たちの受けた“死の命令”に等しい衝撃は、それ以上に大きかったのです。
私は、壕の岩肌にへなへなと座り込みました。
(絶対に、日本が勝つって信じて、頑張ってきたのに、今さら解散なんて……)
(私たちなりに、皇国女性として、勤めを果たしたのに……)
それは無駄な努力だったのでしょうか。
今になって鬼畜米英の砲煙弾雨の中に放り出されるなんて、見捨てられたようで、涙があふれてきます。
「うう、ぐすっ……ひっく……」
周りからも、すすり泣く声、「お母さん、お父さん」と呼ぶ声がします。
「……うーさーぎー、追ーいし、かーのー山……」
ふと、歌声が聞こえて見上げると、ムギちゃんが声をつまらせながら「ふるさと」を歌っています。
「小ーぶーな、うっ、釣ーり、…ぐす、かの、川……」
私も故郷を思い出し、「ふるさと」を歌い出すと、
周りのみんなも、それに合わせて歌い出すのです。
“夢は 今も 巡りて”
“忘れがたき ふるさと……”
私たちが思い描いた美しい故郷、懐かしい学舎も、今は焦土と化しているのでしょう……
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