過去ログ - 唯「ひめゆり」
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62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/17(水) 19:21:56.75 ID:c+5+k8k3o

すると突如、凄まじい爆発音とともに、もうもうと煙が立ちこめたのです。



 『ガス弾だ!』

 『タオルを水で濡らして口と鼻をふさげ!』

 『なるべく姿勢を低くせい!』


兵隊さんや先生方の怒声が聞こえます。

あっというまに濃い煙が壕内に充満し、何も見えません。

そもそも、目が痛くて開けられません。


私はとっさに、カバンからハンカチを取り出すと、水筒の水で濡らして口をふさぎました。

しかし、気休め程度にしかなりませんでした。


 “あぁ!怖い!怖いよぉ!”

 “助けてぇ!お父さぁん!お母さぁん!”

 “さわ子せんせぇ!苦しい!くるしぃ!”


級友たちの悲痛な絶叫が聞こえます。

さわ子先生が励ます声が、悲鳴の中からわずかに聞こえました。


 「みんな頑張って!頑張るのよ!あきらめないで!ほら、このタオルを!」


すぐ隣から、唯ちゃんの、のどをつぶしたような声の叫びが聞こえます。


 「ぁぁ、ぐるじいよぉ!水もタオルもないよぉ!うぁぁぁ!」


しかし、私にはどうすることもできません。

唯ちゃんの肩を抱いて、頭を地面にこすりつけるように下げました。


息を止めれば苦しく、しかし、呼吸をすればさらに苦しくなります。

先生か兵士の誰かが叫びました。


 『小便でタオルを濡らして口をふさげ!』


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