76:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/17(水) 20:18:33.54 ID:c+5+k8k3o
漆黒の海中で、ふと脳裏に、総天然色の夢幻が湧き出た。
(……この美しい島、そして美しい海)
丘には、紺碧の青空と対比を為す深い緑が茂り、色とりどりの花が咲き誇る。
蝶が悠々と舞い、鳥が翔んで競うように歌を奏でる。
コバルト色に澄みきった海が、日差しの下でさわやかな白波を立てて、珊瑚でできた乳白色の浜に打ち寄せる。
竜宮城から舞い出たような極彩色の魚たちが、磯に群れて遊ぶ。
(でも、それは失われた)
(今は、死の島、死の海だ)
(こうして、私の流す血も涙も、そして私自身も)
(この死の海に飲み込まれていく)
陸には草むす屍、海には水漬く屍。
それが、幾十、幾百、幾千、幾万、幾十万、累々と折り重なる。
私もその一部となろうとしている。
(そうだ、ここは地獄の果てだ)
(死の島と死の海に挟まれたこの海岸は、地獄の果てだ)
そのとき、無音となった海の中、
照明弾の明かりが水面からほのかに海底ににじんだのか、ぼんやり明るくなった。
(たった三か月前まで、学校にいたのに)
(なんで、こんなことになったんだっけ……)
(なんで……)
こぽこぽ、こぽこぽ……
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