過去ログ - 唯「ひめゆり」
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83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/17(水) 20:40:51.85 ID:c+5+k8k3o


その後、死体につまづきながら、ひたすら海岸をさまよい続けました。


もう、どちらへ行けばよいのか、見当もつきません。岩穴や岩陰は、どこも追いつめられた人たちでいっぱいです。


相変わらず、丘の上から戦車砲、迫撃砲の砲声が響き、小銃が海岸を動くものを狙い撃ちます。

小さな魚雷艇みたいな船が、しきりに海岸に近寄ってきて、“コウサンセヨ”と呼びかけます。




そして、ついに。




 「あぐうぅぅっっ!」

 「お姉ちゃん!!!?」


脚に流れ弾が当たったのです。

倒れた私を憂が抱き起こし肩を貸してくれて、片脚を引きずりながら岩陰のくぼみに隠れました。


 「いま、診てあげるからね!」


憂が、私の左脚のモンペのすそを切り裂きました

ふくらはぎが熟れたザクロのようにはじけ、砕けた骨が露出しています。


 「ぁぁ……」


憂の顔からは、絶望の色がありありと見て取れました。


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