過去ログ - インデックス「……おめでとう。とうま、みこと」
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31: ◆jVYAigOtyU[saga]
2011/08/18(木) 22:55:06.55 ID:FhNTtJKdo


悩むのは止めよう。
不毛だし、何より自分らしくない。
そう言い聞かせて未だ中で渦巻くドロドロを振るい落とす。
それはただ単に見たくないものに蓋をするだけの行為ではあったが、効果は抜群だった。

「私はいくら食べても太らないアンタが羨ましくてしょうがないわよ」

食い入るように写真の品定めを始めたインデックスの耳に呆れたような御坂の声がそっと届く。

――まあ、大食いは大食いでそれなりに悩みはあるのだけど。
だいたい事あるごとに奇異の目を向けられるインデックスのどこを見てこの少女は羨ましいなどと言えるのか。

その呟きを受け流してそっと指先でメニューをなぞる。

溶けかかったタマネギに半ばほぐれた大きな牛肉。
深いワインレッドにも見えるその複雑な色合いから覗くワイルドに切られた人参にじゃがいも。
トロトロに煮込まれたビーフシチューはどう見ても一番おいしそうに写っているが、
ハンバーグのボリューム感はどうにも捨てがたい。
ボリューム感と言う意味では肉厚のステーキも素晴らしい存在感を放っていたが今日はハンバーグ気分。
綺麗な丸形を描いたこんがりハンバーグから垂れる肉汁と濃厚なデミグラスソースが邂逅する様は一種の芸術だ。
そっと添えられたブロッコリーと人参も美しい生彩を放っていた。

「うむむむむ……」

メニューを囓り出しそうな勢いで睨めつけるインデックスを、ハラハラと見つめる者一名。
そして呆れ眼で見る者一名に、なんだかんだで微笑ましげに見る者一名、興味深げに見つめる者一名。

流れた和やかな雰囲気の中、客の来店を告げる電子音が再び鳴り響いた。
妙に耳に残るその音が気になってふと顔を上げると、
斜め向かいに座った浜面が入り口をじっと見ているのに気がつく。

また知り合いだろうか、と振り向こうとしたインデックスの視界の端に白が掠めた。

「今日は電波が大漁」

「なんだ、一方通行まで来たのか」

ぼそりと呟く滝壺の声に合わせるかのように浜面がその白の名を呼ぶ。
完全に振り返ったインデックスの視線の先で、
背を向けた無彩色の少年が鮮やかな空色の少女に押し留められていた。

一方通行と打ち止めだ。



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