11:Until reaching the starting line ◆oEZLeorcXc[saga sage]
2011/08/17(水) 16:18:12.16 ID:5Lu3WJlC0
ただ、一方通行の信用を勝ち取る程度には平静を装えていたらしい。
だって
会話自体を面倒臭がって仕事の話すらロクにしないようなコイツが自分の身の上話を始めたんだから。
チッっとあからさまに大きくされた舌打ちの後に続いた言葉は……何とも一方通行らしいというべきか、らしくないというべきか評価に困るような相談事だった。
というか仮にも相談するなら舌打ちするんじゃないわよ、と思ったのは内緒の話だ。
彼の話を要約すると、同居人の少女とケンカした、そんな簡単な問題だった。
もちろん原因の根本は複雑なところもあるだろうし、片方の言い分しか聞いていない以上、偏った判断しかできない。
それでも分かるのは、根本にあるのが些細な行き違いからくるどちらに問題があるとも言えないような――つまり痴話喧嘩みたいなものだという事だ。
岡目八目とでもいうべきか、他人が聞けば呆れてしまうそんな話。
もはやある種のノロケ話に近い。
それをあの一方通行が真剣な顔をして、世界の終わりを回避するためにはどうすればいいか、そんな風に話す。
しかも、こちらがただ黙って頷いていると「……聞いてンのかァ?」なんて不安そうにこちらを見てくる仕草がおかしくてたまらない。
「心配しなくてもちゃんと聞いてるわよ」と返すと「ならイインだァ。で、だなァ…」と続きを話し出す。
まるで子供だ。
仲のいい友達とケンカした無愛想な子供。
答えは決まっているのにそれを伝える方法を知らない子供だ。
おかしくてたまらない。
こんなに大きな、
こんなに凶悪面の、
こんなになんでもできる、
こんなに何もできない子供がいるだなんて。
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