63:Until reaching the starting line ◆oEZLeorcXc[saga sage]
2011/08/21(日) 18:14:10.35 ID:rY6iS8KI0
「じゃあ、思いついたら言ってね」
「ま、期待しないで待ってなさい」
「はーい」
いつも通りの彼女に戻る。
可愛い元気な後輩に。
「あ、もうこんな時間だ。私行かなきゃ」
「そう。じゃあまたね」
「うん。またメールする」
勢いよく席を立つと少しだけ音がした。
この元気さも彼女らしい。
私は対照的に静かに立って自分の分のレシートを持つ。
「そうそう」
「何?」
「淡希と仲良くなれた事も入ってるよ」
彼女も自分の分のレシートを持つ。
「上手くいってばかりな事の中に」
その笑顔は相変わらずだ。
「それは光栄ね」
そう返すと少しだけ赤くなり、彼女はくるりと背を向けて急ぎめに走って行った。
照れるなら言わなきゃいいのに。
でも多分、私の顔も少しは赤いのだろう。
「好きな人、ね」
つい三、四ヶ月前まで友達はおろか普通の日常生活すら行っていなかった人間だ。
今だって同性の友達すら数えるほどで追加をすれば通っているのは女子高だ。
百合属性無し<ノーマル>の自分に好きな人がいるほどの環境はまだ整ってない。
好きな人と言われて頭をよぎる人物なんていない。
一人だけしか。
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