過去ログ - 一方通行「オマエだって、もォこの家の一員だろォが」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(山形県)
[saga]
2011/08/18(木) 03:40:39.32 ID:aLV867QF0
「一方通行!」
ふと、自分を呼ぶ声が聞こえた。聞き慣れたその声は同居人のものだ。
声の聞こえた方へと首を動かせば、長い髪をまとめたその人物はこちらに歩み寄ってくる。
いつもの緑色のジャージではなく、重苦しそうな警備員の装備を身に纏っていた。
「こんな所で何やってるじゃんよ」
「……暇だから出てきただけだ。俺が散歩しちゃ不味かったのか」
「いや、そうじゃなくて」
恐らくパトロールか何かの最中であろう黄泉川愛穂は、何故か目を丸くしながら自分を見ている。
そしてある方向を指さして彼女が言った。
「…ついさっき、そこの通りを歩いてたじゃんよ? なんでここにいるのかと思ったじゃん」
「はァ?」
何を言っているんだ?
右手に持った缶の中、僅かに残ったコーヒーがちゃぷんと音を立てた。
自分はずいぶん長い間このベンチに座っている。三十分とまでは行かないが、十分以上は経過しているだろう。
そもそも彼女の示す道を通った記憶はない。正反対の通りを歩いてきた筈だ。
「俺ァずっとココに居たぞ。いつの話だソレ」
「ほんの数分前じゃん? そんな目立つ容姿、そうそう間違える筈ないと思うんだけど」
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