過去ログ - 姫「鬼?」 -SS速報VIP

過去ログ - 姫「鬼?」

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27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/08/27(土) 06:08:15.65 ID:8zhmTv02o
「あとはこいつか。――オラ起きろ」
「うぐはっ」

　隊長に蹴り起こされた若造が呻く。先ほど水月に叩き込まれた一撃が、彼の意識を刈り取っ
ていたのだ。

28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/08/27(土) 06:09:48.60 ID:8zhmTv02o
「うおおッ！　鏖！　許容もッ！　慈悲もなくッ！」
「そこを通りたがるのは敵さんだけだからよ。存分に楽しんできな」
「隊長ォ！　アンタはやっぱ最高だぜ畜生！　よっしゃー征くぜッ！」

　城門に親の仇がいる勢いで発進する若造に、隊長が指示を追加する。

29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/08/27(土) 07:51:48.95 ID:8zhmTv02o
鬼１、鬼２～てな風にしたくなかったので、
使う武器種にかけた二つ名を使用することにしました。
やや判り辛くなっているかと思いますが、ご容赦願います。

で、あの世界とは何の関係もない、と前置きした上で、

30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/08/29(月) 06:48:24.54 ID:JSNHj7ulo
「王女は未だ発見に到らず、とのことです」

　伝令の報告を受け、軍団長は顔をしかめてから指示を出した。

「存外に手間取っているな。或いは逃げ落ちたか。――では、城内の捜索は払暁まで続行し、

31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]
2011/08/30(火) 02:24:15.69 ID:4DMjDEJko
ふむふむ

32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/08/31(水) 05:55:15.79 ID:5o/qQxCVo
　大勢を決して尚、この城は十重二十重に包囲されている。姫と宰相、そして侍の三人がこれ
より突破するのは、その囲いの全てだ。

「ふん」

33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/09/09(金) 16:52:24.69 ID:KptnomRjo
まずは訂正から

>>32
×　天神差しの納刀に～
○　左右と上下が逆さの納刀に～

34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/09/09(金) 16:54:01.44 ID:KptnomRjo
　神箭手が引金を絞ると、前から後、そして主の三弓に連なる弦が圧倒的な張力を解放する。
射ち出された矢は月下に群れる有象無象を亜音速で跨ぎ、不運な百卒長の首元を刺し、穿ち、
斬り飛ばす。苦しまない死に方としては上等だが、見て楽しい情景ではない。

「まず一つ」

35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/09/09(金) 16:55:12.62 ID:KptnomRjo
「……ま、こんなもんだろ」

　二〇を数え、ようやく被害を認識し始めた戦場を眺め、神箭手は手を休める。一定の戦果を
上げたから、ではなく、動きの鈍い的に限りある矢を消費するのに飽いたからだ。

36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/09/09(金) 17:12:13.09 ID:KptnomRjo
余談ですが、“弩”は“おおゆみ”、“神箭手”は“めるげん”と読みます。
それと、鬼のイメージは金剛力士とクリンゴンを足して割って下品にした感じです。

37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/09/12(月) 20:34:30.07 ID:gqCtqIKBo
　神箭手の振舞った阿鼻叫喚が戦場の第二幕を開けた時、若造はまだ舞台に上がっていない。
あろうことか道に迷ったのだ。

「ド畜生がッ！」

38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/09/12(月) 22:49:25.47 ID:gqCtqIKBo
　両脇に三人ずつ、意識のある一人を首から下げて、首刈りが“救護室”に戻る。

「くっくっく、やはり俺が先か」

　彼としては丁寧に敗残兵どもを壁際に寝かせると、腰のものを放って指示を出す。

39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/10/01(土) 18:43:42.53 ID:w1gr7o+Mo
　城壁をざっと一望し、それが回廊としてまだ使えることを確認すると、隊長は鉄槌を構える。

「少なくとも、数に不足はねえな」

　城外に面した壁は彼の膝ほどの高さがあり、上端には凹凸が設けられている。身を隠しつつ

40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/10/02(日) 23:13:12.86 ID:cdTZuMWQo
「なあ、爺よ。この城にはあのような兵器があったか？」
「ありませんな」

　どがん、どごん、うぎゃあ、と三つ揃えの騒音が角を曲がって近づくのを聞きつつ、懐中の
姫とこれも懐中の宰相が、益体もない問答を転がす。

41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/10/03(月) 01:46:05.67 ID:/amuNo0Jo
「てっ、敵襲です！」
「何……だと……？」

　軍団長の野営天幕は、城とそれを囲む軍勢を一望する位置に設けられている。全体の状況を
把握する必要からだ。

42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/10/03(月) 22:29:14.90 ID:/amuNo0Jo
「っしゃー！」

　面倒臭くなった挙句に壁の幾つかをぶち抜いて登場の若造が、腰抱きにした帝国兵を伴って
城門に転び出る。

43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/10/09(日) 23:25:04.05 ID:CkfRCavfo
「あははっ！」

　隊長の放った地獄絵図の現場に飛び込んだ侍の懐で、姫が同情の欠片もない歓声を上げる。
　彼女にしてみれば敵が死ぬことは全くの善であり、それを間近で味わうのに遠慮する謂れは
ない。何しろ一族郎党を鏖殺されているのだ、喜んで何が悪い。

44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/10/09(日) 23:53:03.53 ID:CkfRCavfo
「で、如何なさいます？」
「決まってるだろう、君？　僕はこの世界を平定する。他にはないよ」
「失礼を。殿下にお座せれられましては、ここは始まりにしか過ぎぬこと、失念致しました」
「まだ判らないんだろう？　その世界が確かにあるとは。なら、まだ、どうでもいいよ」
「ある、と私は信じております。殿下にはこれを是非とも、と」

45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/10/10(月) 01:02:34.51 ID:lt24GI7po
くわがたー

46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/10/10(月) 02:07:27.99 ID:lt24GI7po
　血みどろの仁王立ちで城門に立ち、大剣を突きつけて一匹の鬼が吠える。殺してみろ、と。

　相対する兵にしてみれば、巨大にして異形の化物としか表せない代物であり、これと戦えと
命じられてどうにかなるようなものではない。彼らは人と戦うために出征したのだ。

47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/10/17(月) 03:21:43.69 ID:uN7+ibeMo
この板が壊れそうだ、ということなので以降の投下は創発にて。

お世話になりました。

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